参院選の結果が明らかにしたもの

 

自民党の敗北と敗北を認められない小泉、

 

7月11日投票の参議院選は、イラク多国籍軍への一方的参加と、ごまかしに満ちた「年金改革」、そして小泉の合いも変わらない口先の「構造改革」と無責任で不真面目な対応、発言に対する有権者の反発で自民党を敗北させた。

 公明党、創価学会の全面的な支援によっても改選前議席51議席に及ばない49議席しか取れず、牙城を誇った27の「一人区」では14人しか当選する事が出来なかったのである。

 高支持率と勝ち選挙の「小泉神話」は色あせ、自民党の凋落は留めようが無い段階まできている。

 「改選前議席が確保できなければ責任問題」との大合唱は、選挙戦終盤での自民苦戦の中で音を潜め、「自公で過半数確保」「参院選は政権問題にはならず」と開き直り、小泉にいたっては敗北さえ認めない姿勢である。

最も敗北を認める事が、自民党の党内危機を促進する事は明らかである。

 

 公共事業による利益誘導と、アジア共存での経済支配を軸とする田中に代表される自民党を「解体」し、その利権の奪取とアメリカ全面追随に転換し「世界大競争の時代」グローバリズムの「弱肉強食」のため、構造改革、規制緩和、民営化を進め、年金改革を始めとする福祉解体、自衛隊の海外派兵、有事立法制定など、小泉政権は「戦後の社会・政治・経済システム、価値観すべて」を破壊し国家の枠さえも超えたシステムをアメリカを軸とした強大な軍事力と人民の抑圧の上に成し遂げようとするものが「小泉改革」である。

 閉塞した社会状況の中で「変人・小泉」として高支持率を背景に進められてきたブッシュ一辺倒の新自由主義路線も、イラク、パレスチナ問題など中東での失敗や最大の攻撃に晒されている途上国を先頭とする世界的な反グローバリズム運動の拡大、そして国民犠牲の拡大は大きな反発を生み出してきていた。

その結果が、参院選の敗北を生み出したと言えるだろう。

 

1000万票を目標とした与党公明党は850万票を確保した。

過去最高といわれたが、その力をもってしても自公あわせて改選前議席を確保できない自民党との連立が、与党であり続ける事が今後も永遠に続く保障は益々無くなり、政治的にも宗教党としての成り立ちからも自らが単独で政権を担えない公明党は、野党になる事の恐怖と下部からの自公連立への反発の中でジレンマに悩まされるだろう。

 

「勝利」の民主党、社民党、共産党の限界

 

 自民党の敗北に対し、民主党は、得票率38%で、自民党の30%を押さえ、50議席を確保した。「二大政党時代」が到来したと言われている。

党員名簿まで提出し、公明党の全面支援が無ければ選挙戦さえ困難な自民党に対し民主党にとっては政権奪取のチャンスだった。

現に、あと5議席勝利すれば、小泉内閣総辞職の事態を招いただろう。

 しかし、民主党は勝利できなかった。

有権者は、この党の変遷、この間の国会での対応、「年金財源を消費税で」等と自民党と代わり映えしないマニフェスト、党責任に対し支持は与えても政権を任せようとまでは思っていないのである。

 

 反小泉を鮮明にし「年金問題」「イラク派兵に対する批判」と「護憲」を中軸に訴えた共産党、社民党の衆院選に続く敗北は、「55年体制」体質から脱却した新しい党体質と運動への再生無しには長期低落傾向に歯止めをかける事は不可能なことを改めてはっきりさせただろう。

 「みどりの会議」や、青島などの少数政党、旧「市民」派は、遠く及ばず敗北し、解党の危機にある。二大政党と選挙制度の為だけでは無いだろう。

参院選を前に、市民運動、イラク反戦運動、労働運動、社民党有志、新社会党などの左派共同による共同戦線、共同候補が追及され、みどりの会議とも論議がもたれたが成功しなかった。その総括が重要だろう。

 そうした中での沖縄地方区の糸数選挙が、社民、共産、民主の共闘の中で闘われ圧倒的に勝利した事は注目すべきと思う。

 

「第三極の新たな共同の戦線」が不可欠

 

 小泉に対して、新自由主義に対して、イラク多国籍軍参加に対して、改憲に対して有権者、国民はNOの意思を持っている。

しかし、今後の社会、政治の方向と道筋を、どの政党も出しえていない事が、小泉政権を追い詰め切れない今回の選挙結果となっただろう。

 キーワードは「戦争と略奪のグローバリズムに反対し、共存の為の地球的な反グローバリズム運動の現実化」であろう。

 イラク戦争に反対する数百万の世界的なワールドピ−スナウ運動。WTOの農業破壊、国家体制まで破壊した世界支配に対するカナダ、ダボスそしてメキシコ、カンクンでの途上国や国際的農民の闘い。

 ブラジルからインドへの「もうひとつの社会は可能だ」とする世界社会フォーラムの成功と、アジア民衆の闘いの合流に向け「希望を地球化しよう、闘いを地球化しよう」との6月ソウルでのアジアーフォーラム宣言。

 米英軍占領下のイラク内からさえこうした世界的な運動との合流を目指す闘いが進められている。確実に「もうひとつの」潮流は現実化し拡大している。

 こうした反グローバリズム運動と結合し、「新自由主義グローバリズムと対抗する、もうひとつの世界は可能だ」をより具体的に、新しい社会と政治を体現できるような「第三極の新たな共同の戦線」を目指し多くの運動、共闘組織との共同の取り組みと実践を積み上げることで最後的に小泉自公政権の打倒に向かわなければならないだろう。

 

                電通労組執行委員長   大内忠雄