725 NTT反リストラ裁判判決文

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<原告及び代理人の住所氏名等割愛しました>

 

主      文

1 原告らの請求をいずれも棄却す。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1 請求

1(1) 原告大内忠雄(以下「原告大内」という。),同日野正美(以下「

原告日野」という。),同成田徹(以下「原告成田」という。)及び同古宮正道

(以下「原告古宮」という。)が被告との間で,技術部情報システム体系化プ

ロジェクトにおいて,体系化推進担当として勤務する労働契約上の義務がない

ことを確認する。

2)原告緒方哲夫(以下「原告緒方」という。)及び同鏡茂俊(以下「原告鏡」

という。)が被告との間で,東京都板橋区に所在する被告の東京支店営業企画

部光IP販売プロジェクトにおいて,物販担当として勤務する労働契約上の

義務がないことを確認する。

3)原告古舘義男(以下「原告古舘」という。)及び同横澤仁志(以下「原告

横澤」という。)が被告との間で,東京都足立区に所在する被告の東京支店営業

企面部光IP販売プロジェクトにおいて,特販担当として勤務する労働契約

上の義務がないことを確認する。

2 被告は原告らに対し,各金300万円及びこれに対する平成15年10月2

4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事実の概要

被告は,その社員である原告らに対し,後記1,(7)のとおり平成15年4月

1日付けで,その勤務事業所及び職務を変更する旨の配置転換命令(以下「本

件命令」という。)を発した。

本件は,原告らが被告に対し,本件命令が違法・無効であるとして,@同命

令で定められた勤務事業所での職務に従事すべき労働契約上の義務がないこと

の確認を求めるとともに,A不法行為による損害賠償請求権に基づき,それぞ

れ慰謝料として金300万円及び遅延損害企(附帯請求の始期は訴状送達の翌

日である。)の支払を求める事奏である。

1 前提となる事実(後掲の証拠によるもののほかは,当事者間に争いがないか

弁論の全趣旨より認められる。)

1)被告

ア 被告は,東日本地域(北海道,青森県,岩手県,宮城県,秋田県,山形

県,福島県,茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川

県,新潟県,山梨県及び長野県)における地域電気通信業務,地域電気通

信業務に付帯する業務,その他会社の目的を達成するために必要な業務及

び東日本地域における地域電気通信業務とこれに附帯する業務を営むため

に保有する設備若しくは技術又はその社員を活用して行う電気通信業務を

行う株式会社である。(乙1)

イ 我が国の国内電気通信事業は,明治時代から国が独占的にこれを運営し

ていたが,昭和27年8月,国内電気通信事業を独占的に取り扱う公共企

業体として,日本電信電話公社(以下「電電公社」という。)が設立された。

そして,昭和60年4月,従来の電気通信事業に対する行政規制を緩和

する電気通信事業法(以下「事業法」という。)の制定・施行に伴い,電電

公社の企業形態を公社から株式会社へと変更する日本電信電話株式会社法

(以下「旧NTT法」という。)が制定され,これにより電電公社は解散し,

日本電信電話株式会社(以下「旧NTT」という。)がその一切の権利,義

務を承継した(旧NTT法附則5条。以下,この企業形態の変吏を「民営

化」という。)。

また,平成9年,旧NTT法の改正法である日本電信電話株式会社等に

関する法律(平成9年法律第98号。以下「NTT法」という。)が制定さ

れ,これに件い,平成11年7月1日,旧NTTは,いわゆる持株会社で

ある日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)と,地域電気通信事

業の経営を目的とする被告及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西

日本」という。)などに再編成され,旧NTTが営んでいた地域電気通信事

業及びこれに係る権利・義務は被告及びNTT西日本に承継された(NT

T法附則7条)。(甲46,99,乙7 0,74)

(2)被告の関連子会社

被告の子会社は多数存在するが,このうち,本件に関連性のある子会社と

しては次のものがある。

ア 株式会社ェヌ・ティ・ティ エムイー(以下「NTT−ME」という。)

は,電気通信設備の設備運営等に関する受託業務,通信機器販売・保守受

託業務,各種ネットワークサービスの販売取次業務など営む株式会社であ

る。同社は,平成11年4月1日に,被告がその1 0 0パーセントを出資

する株式会社ェヌ・ティ・ティ・テレコムエンジニアリング東京(以下「N

TT−TE東京」という。),株式会社ェヌ・ティ・ティ・テレコムエンジ

ニアリング関東(以下「NTT一TE関東」という。),株式会社エヌ・テ

ィ・ティ・テレコムエンジニアリング信越が合併して,創設されるに至っ

た。

NTT−MEは,従来から,被告その他グループ各社から上記業務を受

託して,事業を営んでいた。(乙7 0,314・11頁)

イ 株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー東北(以下「NTT−ME東北」

 

という。)は,電気通信設備等の管理業務受託及び保守業務受託,情報通信

用端末機器販売,情報通信システムの企画・開発・販売・設計・建設・保

守及びコンサルティングなどの事業を営む被告の1 0 0パーセント出資の

子会社である。同社は,昭和61年に設立された株式会社エヌ・ティ・テ

ィ・テレコムエンジニアリング東北(以下「NTT一TE東北」という。)

を前身とし,平成12年3月1日に,その商号を上記のとおり変更した。

NTT−ME東北も,NTT−MEと同様,従来から被告その他グルー

プ各社から上記事業を受託して事業を営んできた。(乙7 0,344)

(3)原告ら

ア 原告らは,昭和40年から同49年までの間に,電電公社に見習社員と

して雇用され,次いで,社員として採用された後(以下,単に「入社」と

いう。),前記出,イの民営化及び旧NTTの組織再編に伴い,被告の社員

となった(旧NTT法附則6条1項,NTT法附則7条)。

イ 電電公社入社後の原告らの勤務局所ないし勤務事業所(以下「勤務先」

ないし「勤務場所」ということがある。),同局所ないし事業所の所在地及

び担当した職務の経緯は,概要,別紙1−1ないし1−8のとおりである。

(甲a 4,b 3,c 3,e 4,f 3,94,h4,i 3,乙1 0 7,12

6,2 1 4,274,301,3 1 4)

なお,原告日野,同成田及び同古宮は,平成9年,同原告らが従事して

いた業務が,旧NTTからNTT−TE東北(前記(2),イのとおり,後の

NTT−ME東北である。)に委託されたことに伴い,NTT−TE東北ヘ

出向を命じられた。また,原告鏡及び同横澤も,平成9年,同原告らが従

事していた業務が,旧NTTからNTT−TE東京(原告鏡)ないしNT

T−TE関東(原告横澤)に委託されたことに伴い,NTT−TE東京な

いし同関東へ出向を命じられた。

4)被告における労働組合

平成13年3月当時,被告には,社員により組織された労働組合として,

NTT労働組合(以下「NTT労組」という。),電気通信産業労働組合(以

下「電通労組」という。),通信産業労働組合,電信電話医療機関労働組合,

全労協全国一般東京労働組合及び東京管理職ユニオンの6労働組合が存在

した。

このうちNTT労組は,平成15年3月当時,被告の全社員数の

98.6パーセントに当たる1万5000名の組合員を擁する労働組合で

あった。

イ 原告らはいずれも,電通労組に所属している。

(5)NTT,被告及びNTT西日本(以下「NTTグループ」という。)の業務

運営改善施策の策定及び実施等

ア 平成11年11月,NTTグループは,平成12年度から同14年度ま

での3年度を対象として,大要,@上記3か年で,被告及びNTT西日本

の社員を約2万1000名削減し(うち,被告については約1万人の削減

である。),かつ,新規社員の採用を控える,A業務の集約,営業拠点の統廃

合や,本社・間接部門のスリム化など,被告及びNTT西日本の業務運

営全般にわたっての効率化を推進し,多数の社員をビジネスチャンスが豊

富に存在する首都圏や京阪神などの大都市や,NTTグループの関連会社

へ再配置する旨の「中期経営改善施策」(乙6)を策定した。

そして,被告は,上記施策に基づき,販売業務・窓口業務・電話受付業

務・料金業務・故障受付業務などといった業務の集約及びその拠点の統廃

合を進めるとともに,これにより余剰化した社員につき,平成13年度末

(平成14年3月)までに,情報流通関連業務,首都圏エリアの営業業務

への配置や,グループ会社への出向・転籍を行った。また,被告は,平成

12年から同13年12月にかけて都合4回にわたり,希望退職者を募集

し,これにより約6400名の被告社員が退職したほか,平成13年度か

ら同15年度の3年度にわたり,社員の新規採用を控えて,社員数の減少

 

及び抑制に努めた。(乙6,9,1 1 , 15,7 0,1 3 1)

イ 平成13年4月,NTTグループは,より抜本的・効率的な業務運営体

制の構築及び事業コストの改善のための施策として「NTTグループ3ヵ

年経営計画(2001〜2003年度)について−NTTグループの事業

構造改革−」(甲1)を策定した(以下,この経営計画を「構造改革」とい

う。)。同計画の内容は極めて多岐にわたるが,これを本件に関連する事項

の要旨のみを摘示するならば,同計画は大要,@被告及びNTT西日本は,

その収益源となる事業を固定電話からIP・ブロードバンドヘ転換すると

ともに,被告及びNTT西目本の本体機能を企画・戦略,設備構築・管理,

サービス開発,法人営業等に特化させる,A注文受付,設備保守・運営,

故障修理等の業務については,地域単位(県又は複数県を束ねたブロック)

の経営資源活用会社等ヘアウトソーシングし,また,これに併せて,経営

資源活用会社等は徹底した経営の効率化を図るとともに,地域密着型の事

業活動によりグループ内外に向けた業容の拡大に取り組む,B上記のよう

な業務委託の実施を踏まえて,社員のライフプランの多様化等を勘案しつ

つ,例えば退職・再雇用等により雇用形態の多様化・処遇の多様化等に取

り組み,人的コストの低減を図るというものであった。(甲1,乙15,7

0)

ウ 平成13年4月27目,被告は上記イ,A及びBの具体化策を策定し,

これを「NTT東日本の構造改革に向けた業務運営形態等の見直し等につ

いて」と題する文書(甲2.以下,この施策を「OSイヒ施策」という。)に

書面化して,NTT労組,電通労組を含む各労働組合に提示した。このO

Sイヒ施策の要旨は次のとおりである。(甲2,乙7 0,342)

(ア)  電気通信事業の基本である固定電話のオペレーショナルな業務等の

処理を,新たに東日本地域の都道県にそれぞれ設置する子会社(以下,こ

の子会社を「OS子会社」という。)に業務委託する。

(イ)a OS子会社設立時に,原則として,@委託の対象となる業務

(以下「移行対象業務」という。)に従事している社員及びA満年齢51

歳以上の社員につき,特に従事する業務にかかわらず,後記撃フ60歳以

降充実型又は一時金型の選択を希望する社員を,、OS子会社へ移行させ

る。

なお,移行時点で移行対象業務に従事している社員のうち,満年齢

50歳以下の社員は,被告を退職して,0S子会社に再雇用されるこ

とを希望しない限り,被告からの在籍出向によりOS子会社へ移行す

る。もっとも,満年齢50歳以下の社員もOS子会社での再雇用を希

望する場合は,被告を退職の上,0S子会社における再雇用により移

行する。

b 他方,移行対象業務に従事している51歳以上の社員のうち,充実

型又は一時金型の選択を希望せず60歳満了型(後記撃フとおりであ

る。)を選択する社員は,被告又は他のグループ会社において勤務地限

定のない企画戦略・グループマネージメント,顧客サービス管理,ネ

ットワークコントロール,設備構築,サービス開発,法人営業等の業

務へ配置換えする。

(ウ)OS子会社の労働条件については,同一地域同業種の労働条件をも意

識して各社ごとに設定し,給与水準については,被告の現在の賃金水準

より概ね20から30パーセント下回る設定とする。

岡 現在,移行対象業務に従事する者を中心とした社員の雇用確保を図るた

め,社員のOS子会社への移行と併せて,社員のライフプランの多様化

にも考慮し,下記の内容の雇用形態・処遇体系を提供する。

〔60歳満了型〕   被告等の企画戦略・グループマネージメント,

顧客サービス管理,ネットワークコントロール,

設備構築,サービス開発,法人営業等に従事し,

現行の人事・給与制度の適用を受けて60歳まで

勤務する形態とし,市場性の商いエリア等を中心

として勤務地を問わず,成果・業績に応じて商い

収入を得る機会を追求する社員に応えるものとす

る。

〔60歳以降充実型〕 満年齢50歳の年度末に被告を退職し,51歳

からOS子会社に再雇用され,60歳までOS子

会社で業務委託に係る業務等に従事した後,同会

社を退職して,現行のキャリアスタッフと同様,

契約社員等としてOS子会社に雇用され,公的年

金の受給開始年齢に併せて最高65歳までの雇用

を実現する形態とする。また,勤務地が限定的と

なる一方,0S子会社において月例給が低下する

ことから,一定程度の激変緩和措置と雇用保険な

ど公的給付の受給の組み合わせにより,61歳以

降の充実した生活設計に資するものとする。

  〔一時金型〕     雇用の形態としては上記充実型と同様とするが,

勤務地が限定的となる一方,0S子会社において

は月例給が低下することから,一定程度の激変緩

和措置として50歳時などの節目において一時金

を被数回受給できるパターンとし,生活設計の多

             様化に応えるものとする。

平成13年4月以降,被告は,NTT労組,電通労組を含めた各労働組

合との聞で,0Sイヒ施策を含めた構造改革に関する協議を始めたが,同年

8月,NTT労組は構造改革に基本的に応じる旨を正式に表明した。そこ

で,被告はNTT労組と,0S化施策を中心とした構造改革についての具

体的な条件につき協議を進め,同年11月30目,被告とNTT労組は全

面妥結するに至った。他方,原告らが所属する電通労組は当初から,0S

化施策を含めた構造改革に反対の姿勢を示しており,その態度に変化しな

かった。(甲3 9,乙7 0,1 3 7,342,343)

オ 上記ウ及びエの経緯を経て,平成13年12月3目,被告は「構造改革

の実施に伴う雇用形態・処遇体系の多様化の実施について」(甲9)と題す

る社長通達(社長連乗第96号。以下「本件社長造」という。)を発し,雇

用形態・処遇体系の選択(以下「雇用形態の選択」という。)の実施要領を

要旨,次のとおりとした。

(ア)平成13年度に50歳以上(年齢は年度末の満年齢をいう。以下同じ)

の社員(以下「必要的選択対象社員」という。)は,平成14年1月18

日までの聞に,後記(ウ)で定める雇用形態等を選択し,任命責任者に通知

しなければならない。また,平成13年度に49歳以下の社員(以下「任

意的選択対象社員」という。)であって,特にOS子会社への移行(退職

・再雇用)を希望する者は平成14年1月18日までの間に任命責任者

に通知しなければならない。

なお,上記通知をもって辞職願に代える。

(イ)平成13年度50歳以上の社員が雇用形態等を選択・通知しない場合

は,後記(ウ)の60歳満了型を選択したものとみなす。

(ウ)必要的選択対象社員が選択する雇用形態等については,下記のとおり

とする。

〔繰延型〕  @ 平成14年度51歳以上の社員が平成14年4月3

0副こ被告を退職し,同年5月1目にOS子会社に再

雇用され,60歳定年制により60歳まで勤務した

後,61歳以降は,契約社員としてOS子会社に再雇

用され,最長65歳までの雇用を実現する形態。

A 勤務地が都・道・県内に限定的となる一方で,月例

給与が15%〜30%低下するが,激変緩和措置とし

て契約社員期間において給与加算が行われ,雇用保険

など公的給付や企業年金(税制適格年金)の受給の組

み合わせにより,61歳以降の充実した生活設計に資

する。

〔一時金型〕  雇用の形態としては繰延型@と同じであるが,月例給

与が15%〜30%低下することに対する激変緩和借景

につき,平成14年4月30日の被告退職時に一時金

(退職金の割増)として受給する形態とし,生活設計の

多様化に応える。

〔60歳満了型〕@ 被告及び被告グループ会社(ただし,0S子会社

を除く。)において,企画・戦略,設備構築,サービ

ス開発,法人営業等の業務に従事し,社員就業規則

第73条に基づき60歳まで勤務する形態。

A 社員就業規則第60粂(転用,配置換等)または

同規則第61条(出向)に基づき,市場性の商いエ

リア等を中心として勤務地を問わず,成果・業績に

応じて商い収入を得る機会を追求する意欲を持った

社員に応える。

(エ 移行時期等

平成14年4月30日で被告を退職し,同年5月1目からOS子会社

において再雇用されることにより,0S子会社へ移行する。

カ 本件社長通達発出後,被告は社員に雇用形態選択通知書(乙20)を交

付し,同通知書を平成14年1月18口までに提出するよう求めた(以下

「甲選択」という。)。

甲選択において,必要的選択対象社員であったのは,原告大内,同古舘,

同成田及び同古宮の4名であったところ,上記原告らは雇用形態選択通知

書中の前記オ,(イ)の旨が記載された部分を横線で抹消し,欄外に「いずれ

も選択しない」,「現在の職場でこのまま働きたい」旨を記した通知書を提

出したため,被告は,上記原告らが60歳満了型を選択したものとみなし

た。

甲選択の結果,平成13年度雇用形態の選択の対象となった社員の約9

6パーセントに当たる1万4892名の社員が前記オ,(ウ)の繰延型ないし

一時金型(以下,一括して「退職・再雇用型」という。)を選択し,60歳

満了型を選択した社員,ないしは,これを選択したものとみなされた社員

(以下「満了型等社員」という。)は600名(全体の4パーセント)にと

どまった。(甲a1,4,甲e1,4,甲g1,4,甲h1,4,乙7 0,

1 0 7,1 2 6,2 1 4,344)

キ(ア)以上の経緯で,平成14年5月1口,構造改革に基づく新たな業務運営

形態が始動したが,これによる業務委託及びその委託先であるOS子会

社の概要は下記のとおりである。(乙17,48,5 8,70)

@ 固定電話に関する定型業務及び地域密着型の業務が,被告や既存の

関連子会社から東日本地域の都道県別に新たに設立された「サービス

系会社ム「設備系会社」,「共通系会社」の3系列のOS子会社に委託

された。

A 「サービス系会社」は商号を「株式会社エヌ・ティ・ティ サービ

ス××(都道県名)」とするもので,@中堅・中小企業や住宅ユーザを

対象とする被告の商品やサービスの販売,注文受付業務(訪問や電話

により販売勧奨を行う営業業務,商品やサービスの注文を電話で受け

付ける116業務,来客する顧客と対応する窓口業務),A顧客からの

注文等に応じて,その事務処理を行う業務(被告において「SO業務」

と呼称されるものである。なお,「SO」はサービス・オーダーの略称

である。),B被告の商品・サービスに対応する料金の請求,審査,回

収等の業務(料金業務),C公衆電話の設置,改廃に伴う事務処理の業

務,D電報サービスの販売成果の把握・分析及び広告宣伝等の業務が

委託された。

B 「設備系会社」は商号を「株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー×

×(都道県名)」とするもので,@被告の電話交換機等の通信設備の保

,故障対応の業務,A被告の商品である通信機器の故障対応の業務,

B通信回線の敷設,保守,故障修理等の対応業務が委託された。

C 「共通系会社」は商号を「株式会社エヌ・ティ・ティ・ビジネスア

ソシエ××(都道県名)」とするもので,@社員証発行や不動産管理及

びそれに伴う事務処理等の業務(総務関係業務),A給与等支給に伴う

手続・事務処理業務及び研修の運営等の業務(人事関係業務),B福利

厚生に関する問い合わせ対応及び健康診断の手続等の業務(厚生関係

業務),C社内会計における伝票審査及び財務データのチェック等の業

(財務関係業務)が委託された。

()また,甲選択における満了型等社員600名のうち,0S子会社への

移行対象業務に従事していた社員は274名であったが,被告は,構造

改革実施後、順次これらの社員を,本社等の組織や首都圏にある支店,

各支店の法人営業部を中心として配置するとともに,これらの社員に対

,適宜,職場OJTやIP・ブロードバンドに関する集合研修などを

実施した。(甲12

(6)構造改革リファイン

(ア)平成14年11月,被告は,構造改革をより促進すべく,「激変する市

場環境及び競争環境に対応し,IP・ブロードバンドビジネスの積極的

展開を図るため」,「グループフォーメーションの見直しを推進してい

く」として,@OS子会社の機能充実,ANTT−MEの事業,役割等

の見直し,B法人営業力の強化,Cその他被告グループ会社の事業,役

割等の見直しなどを実施することとした(以下「構造改革リファイン」

という。)。また,同年12月24日,被告は,「雇用形態・処遇体系の多

様化の実施について(甲11)と題する社長通達(社長達東1 0 9号。

以下「本件新社長達」という。)を発して,本件社長通達で定められた内

容の雇用形態の選択を,平成14年度以降も実施することとし,その実

施要領を定めた。なお,本件新社長達の内容は,@必要的選択対象社員

の範囲を「年度末の満年齢が50歳となる社員」(本件社長達とは,年齢

把握の基準となる年度を固定化していない点で異なる。),任意的選択対

象社員を「49歳以下の社員」(これも,年齢把捉の基準となる年度を固

定化していない点が本件社長達と異なる。)とし,また,A雇用形態の選

択の期限を「別に定める日」とするほかは,概ね前記(5),オの本件社長

達とほぼ同内容のものである。(乙2 7,70)

(イ)また,同日,本件新社長達を受けた「雇用形態・処遇体系の多様化の

取扱いについて」(乙1 6 4)と題する人事部長通達(東人企第02−1

29号)が発せられ,平成14年度の雇用形態等の選択についての特例

等を下記のとおりとする旨定められた。

@ 平成14年度に限り,本件新社長道が雇用形態の選択・通知を求め

る対象とする「50歳の社員」とあるのを「50歳以上59歳以下」

と読み替える。

A雇用形態の選択・通知は,平成15年1月31日までの間で行うこと

とする。

イ 本件新社長達発出後,被告は,甲選択時と同様に,雇用形態選択通知書

(乙21)を交付して,平成15年1月31日までに同通知書を提出する

よう求めた(以下「乙選択」という。)。

この乙選択では,@原告日野,同緒方,同鏡及び同横澤が平成15年3

月31日時点て満年齢が50歳に途する者として,また,A原告大内,同

古舘,同成田及び同古宮が平成15年3月31日時点の満年齢が51歳以

上である者として,それぞれ必要的選択対象社員とされたが,原告大内,

同成田,同古宮及び同古舘は雇用形態選択通知書を提出せず,また,原告

緒方,同日野,同鏡及び同横澤は前(5),カで触れた甲選択当時に原告大

内らがしたのと同様の方法により,雇用形態選択通知書記載の各選択肢を

いずれも選択しない旨を記した通知書を提出した。そこで,被告は,原告

らが60歳満了型を選択したものとみなした。(乙70,126,2 14,

274,282,301,3 1 1,3 1 4,3 1 8,344)

(7)本件命令

被告は原告らに対し,平成15年4月1日付けで,同人らの勤務事業所及

び職務を,別表1−1ないし同1−8の「平成15年4月1日」の日付欄に

対応する「勤務先」及び「担当職務」欄記載のものとする配置転換命令(本

件命令)を発した。

8)就業規則等の定め

ア 電電公社が定めた日本電信電話公社職員就業規則(以下「公社規則」と

いう。)は,職員の転用,配置換等につき下記のとおり定めていた。(乙5

1)

(第51粂) 職員は,業務上必要かあるときは,勤務局所又は担当する

職務を変更されることがある。

イ 被告が定める社員就業規則(社長達東第3号。以下「被告就業規則」と

いう。)は,社員の転用・配置換等,出向及び定年につき下記のとおり定め

ている。(乙8)

(第60条)  社員は,業務上必要があるときは,勤務事業所又は担当

する職務を変更されることがある。

(第61条)  社員は,業務上の都合により,別に定めるところにより,

出向させられることがある。

(第74条)  社員の定年年齢は満60歳とし,定年退職目は定年年齢

に達した目以後の最初の3月31目とする。

2 (略)

2 争点

1)勤務事業所及び職務を限定する合意の有無

2)本件命令は,国際法規ないし憲法,労働基準法(以下「労基法」という。)

等の国内法規に違反し,無効か否か

3)本件命令が人事権を濫用したものとして無効であるか否か。具体的には次

のとおりである。

@ 業務上の必要性の有無及び程度

A 報復,威嚇などといった不当な目的,動機の有無

B 原告らが被る不利益が通常甘受すべき程度を超えるか否か

C 手続的適正の欠如の有無

4)損害額

3 争点に関する当事者の主張

田 争点(1)・勤務事業所及び職務を限定する合意の有無

(原告らの主張)

ア 電電公社に原告らが採用された当時,各地の電気通信管理局(以下「地

方局」という。)で採用された一般職員の勤務局所は,採用となった地方局

の管内に限定されており,現に,採用後の原告らの勤務局所ないし勤務事

業所(以下,併せて「勤務場所」ということがある。)も採用された地方局

の管内に限定され,管外への配管転換が対象となる労働者の同意なしに行

われることはなかった。

したがって,原告らについては,電電公社・旧NTT・被告を通じて,

勤務場所を採用された地方局の管内に限定するとの合意が成立していた

か,もしくは,地方局の管外への配置転換には原告らの同意を要すること

が長年の労使慣行として確立し,これが原告らと被告との間の労働契約の

内容となっている。

イ 原告らの担当職務は,これまでの業務経験・資格・能力等を踏まえて原

告らと被告との協議の上で決定されてきた。 したがって,原告らと被告と

の間の労働契約においては,その担当職務につき上記のような内容の合意

が成立している。

ウ 以上によれば,被告が原告らの勤務事業所を変更するには,原告らの個

別の同意が必要となるが,原告らは本件命令に同意していない。 したがっ

,被告が一方的にした本件命令は原告らに対する効力を有しない。また,

本件命令は原告らの担当職務を大きく変更するものであるが,原告らはい

ずれもこれに同意していないから,やはり,本件命令は原告らに対する効

力を有しない。

(被告の主張)

否認ないし争う。

ア 原告らを採用した電電公社が定める公社規則第51条は,業務上の必要

性があれば,広く職員の勤務局所及び職務を変更することができる旨を定

め,被告就業規則も同旨を定めている。また,原告らは上記の内容を含む

公社規則につき,これを遵守する旨の誓約書を電電公社に提出して採用さ

れている。もとより,電電公社が職員を募集するに当たり,勤務局所や職

務を限定したことはない。

イ 電電公社の職員の採用形態には,総裁が採用する形態のものと地方局の

長等が採用する形態のものが存在したが,後者の採用形態は,各地方局の

長等が総裁から採用についての委任を受けてされたものであり,前者の採

用形態と何ら異なるものではない。

また,電電公社・旧NTT・被告は業務上の必要性がある場合には,地

方局,支社等の範囲を超えて,多数の職員・社員を異動させてきたし,そ

の際に個々の異動対象者から同意を得ることもしていない。よって,原告

らが主張するような労使慣行は電電公社,旧NTT及び被告を通じて存在

しない。

ウ よって,原告らの同意の有無は本件命令の効力を左右しない。

2)争点(2)・本件命令が国際法規等,又は,憲法,労基法等の国内法規

に違反し,無効か否か

(原告らの主張)

ア 我が国は,平成7年に「家族的責任を有する男女労働者の機会及び均等

の待遇に関する条約」(国際労働機関第1 5 6号条約。以下「ILO第15

6号条約」という。)を批准しているところ,同条約第3条1項は,「男女

労働者の機会及び待遇の実効的な均等を実現するため」,「家族的責任を有

するものであって職業に従事するもの……が,差別を受けることなく,ま

た,できる限り職業上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく

職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の

目的とする」と定めている。また,ILO第1 5 6号条約を受けて,「男

女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する勧

告」(国際労働機関第1 5 6号勧告。以下「ILO第1 5 6号勧告」とい

う。)の「IV 雇用条件」の第20は「労働者を一の地方から他の地方へ移動さ

せる場合には,家族的責任及び配偶者の就業場所,子を教育する可能性等

の事項を考慮すべきである」と定めている。 ところが,本件命令は,原告

らの勤務事業所を一方的に遠隔地に指定するもので,原告鏡,同横澤を除

く原告らに単身での赴任を強いるものとなっているが,このような配置転

換は,ILO第1 5 6号条約第3条1項及びILO第1 5 6号勧告の第2

0に違反し,無効である。

イ 育児介護,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法

律(以下「育児・介護休業法」という。)26条は,事業主が雇用する労働

者に,就業場所の変更を伴う配置の変更をしようとする場合に,当該労働

者の育児又は介護の状況に配慮すべきことを定めているところ,本件命令

は,原告らの老親や病気の家族の介護等についての実情に全く配慮するこ

となく行われたものであるから,同法26条に違反し,無効である。

ウ 本件命令は,満年齢が51歳以上の社員を対象として発せられたもので

ある。すなわち,被告は,固定電話関連業務に従事する満年齢50歳以下

の社員をOS子会社に出向させて,従来どおりの労働条件で,従来どおり

の業務に従事させているのに対し,満年齢51歳以上の社員についてはそ

の年齢のみを理由として,異職種,遠隔地に配置転換しているのであるか

ら,このような人事方針は年齢のみを理由とした不合理な差別であり,法

の下の平等を定める憲法14条1項,労基法3条及び民法90条に違反し,

無効である。

また,そもそも,0Sイヒ施策,甲・乙施策を含めた一連の施策である構

連改革及び構造改革リファイン(以下「本件改革」という。)は,@年齢5

1歳以上の社員を,年齢のみを理由として不利益に取り扱う点,AOS化

施策は,就業規則の不利益変更による一方的な労働条件の引下げに等しい

が(同施策は,51歳以上の社員に対し,退職・再雇用型を選択するよう

強要するものである。),就業規則の不利益変更に関する諸種の判例法上の

ルールを違法に潜脱している点,BOSイヒ施策は満50歳定年制の導入に

等しく,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律4条に違反するほか,そ

の構成は会社分割に等しく,そうであれば,会社の分割に件う労働契約の

承継等に関する法律(以下「労働契約承継法」という。)が前提とする「分

割を前提とする労働条件の不利益変更の禁止法理」が適用されるにもかか

わらず,これを違法に潜脱する点,C出向・転籍の場合につき被告と労働

組合との間で定められた諸種の労働協約上のルールに違反する点,D本件

改革の実施に先立ってされた労使間交渉における被告の態度は極めて不誠

実であり,手続的な瑕疵がある点において,そもそも違法・無効である。

したがって,本件改革を基礎としてされた本件命令も無効である。

(被告の主張)

ア ILO第1 5 6号条約第3条は,締約国に対し,同条約の定める目的を

国の政策とすることを求めるにとどまり,締約国における自然人又は法人

が行う法律行為の効力を直接的に規律するものではない。また,ILO第

1 6 5号勧告は,国際労働機関が採択した勧告であり,裁判規範性は認め

難い。よって,ILO第1 5 6条条約第3条及びILO第1 6 5号勧告は,

本件命令の効力を左右する根拠法規たり得ない。

イ 育児・介護休業法26条は,転勤により育児又は介護が困難になる労働

者につき,育児又は介護の状況に対する配慮を求めるにとどまる。また,

被告は,被告就業規則において,看護休暇,育児休暇及び介護休職などを

定めて,育児・介護に当たる必要のある社員に育児・介護休業法所定の基

準を上回る内容の配慮と措置を講じている。もとより,原告らは育児・介

護休業法26条所定の労働者ではない。よって,本件命令は育児・介護件

業法26条に違反しない。

ウ 本件命令は年齢を理由としてされたものではない。また,本件改革にお

いて,被告が,満了型等社員のうち再配置の必要が生じていた者をOS子

会社への出向対象としなかったのは,その人的・物的資源をIP・ブロー

ドバンド事業等の収益力強化に資する部門に集中する必要があったことに

加え,甲・乙選択の結果,退職・再雇用型を選択した多くの社員の士気,

感情等への配慮やOS子会社の社員の構成(年齢的なバランス)を考慮し

たためであり,合理的な理由がある。よって,本件命令は憲法14条1項,

労基法3条,民法90条に反しない。

また,0Sイヒ施策は,社員の同意・承諾を媒介としたものであるから,

何ら就業規則の不利益変更ではないし,また,会社分割によるものでもな

く,さらには,定年年齢を引き下げるものでもない。加えて,本件改革は,

社員の大多数により組織された労働組合の同意・承諾の下,実施されてい

るのである。

以上によれば,本件改革につき,原告ら主張のような違法性はない。

3)争点(3)本件命令が人事権を濫用したものとして無効か否か

(原告らの主張)

ア 業務上の必要性を欠く配置転換は権利の濫用となり,無効であるところ,

本件命令は次のとおり,業務上の必要性を欠いている。

(ア)本件改革により,被告の業務である固定電話関連業務がOS子会社へ委

託されても,原告らが従前,従事していた職務が客観的に消滅するもの

ではなく,これらの職務はOS子会社において遂行される。そして,原

告らは長年の職務経験を通じて,上記職務の遂行に極めて有益なキヤリ

アを形成してきたところ,企業の合理的運営という観点からするならば,

原告らを従前,従事していた職務に従事させることが,最も,労働力の

適正配置,業務運営の円滑化に資することは明らかである。そして,そ

のためには,原告らをOS子会社へ出向させて,移行対象業務に従事さ

せれば足りるのであり,被告がこのような人事措置を講じることには何

らの支障もない。

(イ)他方,原告大内,同日野,同成田及び同古宮(以下「原告大内ら」と

いう。)が本件命令により配置された技術部情報システム体系化推進プロ

ジェクト(以下「情報PT」という。)の業務は,既に技術部,設備部や,

研究開発センク,さらには,NTTコムウェアなどの専門会社などによ

り取り組まれていたものであったから,これを,情報PTを新たに設置

してまで行う必要性はなかった。加えて,情報PTの業務は,業務の性

質上,高度なコンピュータ知識,技能を要するものであるが,原告大内

らはそのような知識,技能を有せず,また,それまでにこのような業務

に従事した経験も全くなかったのであるから,原告大内らを情報PTに

異動させることが不合理であることは明らかであった。

(ウ)また,原告緒方,同古館,同鏡及び同横澤(以下「原告緒方ら」とい

う。)が本件命令により配置された東京支店営業企圃部光IP販売プロジ

ェクト(以下「販売PT」という。)の業務は,一般家庭などを対象とす

る光・ブロードバンドサービスの訪問販売営業であるが,そもそも,当

時,被告は十分な光・ブロードバンドサービスの販売網を構築していた

のであるから,販売PTを新設してまでSOHO・マス層に対する訪問

販売を展開すべき必要性はなかった。実際,販売PTによる業績は極め

て低く,非効率性は際だっている。さらに,光・ブロードバンドサービ

ス販売の展開には,光・ブロードバンド商品についての高度な知識,ま

た,豊かな営業経験を要するところ,原告緒方らは,このような知識は

勿論のこと,そもそも営業経験を有しないため,同人らを販売PTに異

動させることが不合理であることは明らかであった。

本件改革に件って実施された甲・乙選択では,退職・再雇用型を選択し

ない場合のデメリットとして異職種・遠隔地配転の可能性が示されていた

が,本件命令は,正に甲・乙選択で退職・満了型を選択しなかった原告ら

を異職種・遠隔地に配転するものとなっている。すなわち,本件命令は

被告が誘導しようとする退職・再雇用型を選択しなかった社員に対する報

復の目的でなされると同時に,今後,雇用形態の選択を迫られるであろう

他の社員に対し,退職・再雇用型を選択しない場合の現実の不利益事象を

示すという威嚇的効果を企図したものである。

このように,本件命令は不当な目的,動機によりされたものであるから,無

効である。

ウ 本件命令により,原告らは次のとおり,職業生活・社会生活などの面に

おいて,諸種の不利益を被っており,その不利益の程度は通常甘受すべき

程度を著しく超えている。よって,本件命令は権利を濫用したものとして

無効である。

(ア) 原告大内

原告大内は,本件命令当時55歳であったが,同命令により首都圏ヘ

単身赴任し,これにより,同人の家族生活が犠牲となっているほか,町

内会などを通じた生活拠点のある地域への関与が困難となっている。

 

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

さらには,本件命令以降,原告大内の健康状態も悪化している。

(イ)原告日野

原告日野は,本件命令により首都圏へ単身赴任しているが,

 

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

また,原告日野は,宮

城県石巻地域で少年サッカーチームの指導などの社会活動や,電通労組

石巻分会の唯一の組合員として地域における他の団体と協働関係を形成

しながら組合活動を展開してきたが,本件命令による単身赴任により,

これを行うことができなくなった。

 

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

(ウ)原告成田

原告成田は,本件命令により首都圏へ単身赴任しているが,

 

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

(エ)原告古宮

原告古宮は,本件命令により首都圏へ赴任しているが,同人はその生

活の本拠を長年にわたり宮城県に置いており,

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

月に数回宮城に帰郷し,その経済的負

担が大きい。なお,原告古宮は,独身者であるため,被告が世帯保有者

が単身赴任した場合に支給する単身赴任手当や帰郷旅費などが支給され

ないため,経済的負担が累積している。

戟@原告緒方

原告緒方が本件命令により従事することになった販売PTでの訪問販

売を中心とする光・IPサービスのエリア営業は,職務の性質上,身体

に掛かる負荷が少なくないが,原告緒方の場合,年齢が高齢であること

もあって,殊の外その負荷は大きい。また,原告緒方は,本件命令によ

り首都圏地域へ単身赴任しているが,

<原告のプライバシーに関わるため削除>

月に1回の頻度で

山形の実母方へ帰省しているほか,毎週末には仙台市の自宅へ戻ってい

ることから,経済的な負担が大きい。

加えて,原告緒方は電通労組山形分会の唯一の組合員として山形地域

の他の団体との協働関係を形成しながら組合活動を展開してきたが,本

件命令により電通労組山形分会の活動は困難となった。

(カ)原告古舘

原告古舘は,本件命令により首都圏へ単身赴任しているが,これによ

る精神的苦痛は大きい。また,単身赴任のため,町内会や地域のサーク

ル活動などを通じた生活拠点のある地域への関与が困難となった。

(キ) 原告鏡

原告鏡は,本件命令により販売PTにおいて訪問販売を中心とする光

・IPサービスのエリア営業に従事しているが,職務の性質上,身体面

及び精神面に掛かる負荷が大きい。また,原告鏡は平成12年に左踵を

骨折し,現在も通院治療を継続しているが,上記営業活動は足に負荷が

かかるため,接合した部分に痛みが生じるなど,健康上の不安が生じて

いる。

(ク)原告横澤

原告横澤は,本件命令により販売PTにおいて訪問販売を中心とする

光・IPサービスのエリア営業に従事しているが,職務の性質上,身体

面及び精神面に掛かる負荷が大きく,同業務はこれまで経験したことの

ないものであるため,精神的負担が極めて大きく,健康状態も極めて悪

化した。また,本件命令により,原告横深の通勤時間は従前の2倍近く

の時間を要するようになったため,私生活にも影響が生じているばかり

か,原告横澤の労働組合活動も相当な支障を受けている。

エ 構造改革に関する団体交渉において,被告はNTT労組に対し,具体的

・詳細な情報を提示して協議を進めるなど,その交渉態度は極めて誠実で

あったのに対し,電通労組に対するそれは,具体的,詳細な説明をせずに,

極めて不十分な態度に終始したものであり,その団交態度は労働組合法7

条2号が禁ずる団交拒否に該当するものであった。本件命令につき,原告

らが従前の労働条件で,従前の勤務事業所で従前の職務に従事したい旨希

望を述べたにもかかわらず,被告はこれを一顧だにせず,さらに,本件命

令の内示に対し原告らが異議を述べても本件命令を強行した。

したがって,本件命令は手続的にも適正を著しく欠いたものであり,権

利の濫用に当たる。

(被告の主張)

ア 構造改革施策当時,@固定電話領域でのIP電話の普及及び固定電話領

域以外での携帯電話及びブロードバンド通信の発展による固定電話契約件

数及び収益力の低下,A固定電話分野における新規事業者参入による競争

の激化に伴う値引き競争などにより,被告の主な収入基盤である固定電話

の収益力は悪化していた。さらには,B平成12年の我が国とアメリカと

の政府間協議の結果,長期増分費用方式が導入されることとなったのに伴

い,他事業者との接続料金につき,中期経営改善施策の策定当時に予測し

ていた以上の大幅な値下げ(平成14年度までに2 2.5パーセント)を

行うこととなり,これも上記の被告の収益力の悪化に拍車をかけた。

そして,上記のような固定電話領域における収益力の悪化は構造的なも

のであり,今後もその傾向が続くことは避けられない情勢であった。

そこで,NTTグループはコスト削減による競争力の強化と,電話通信

に代わる新たな収益力の確保のためIP・ブロードバンド事業へ進出すべ

く,本件改革を推し進めた。

イ 上記施策により,固定電話関連業務の多くはOS子会社に業務委託する

こととなり,原告らが従来から担当していた業務もOS子会社へ移行した

ため,原告らが被告に在籍する限り,被告の新しい事業構成に則した配置

を行う必要があった。そして,@従来,各支店・部門ごとで独白に構築さ

れていた事務処理システムを統廃合してIT関連コストを削減し,かつ,

効率的なシステムにするとの観点から,情報PTを,また,AIP・ブロ

−ドバンドビジネスの積極的な展開という観点からSOHO・マス層への

営業活動を展開する部門として,販売PTを,それぞれ設置することとし,

そのための補充人員が必要となった。

そこで,被告は原告らに対し本件命令を発したのである。もとより,被

告は販売PTない情報PTでの業務に要求される技能・技量と,原告ら

の経験・経歴とを十分に勘案しており,その人選は合理的である。

このように,本件命令は業務上の必要性によりされた。

ウ 原告らは,本件命令が退職・再雇用型を選択しなかった原告らに対する

報復的意図や他の社員に対する威嚇的効果を企図してされたと主張する

が,退職・再雇用型を選択しなかった社員が,すべて異動となっているも

のではないことからも明らかなように,本件命令は事業構造の変化に件う

必要な人事配置を目したものであり,それ以上のものではない。

エ 原告らの主張する不利益は,いずれも労働者にとって通常甘受すべき程

度のもので,これを超えるものではない。

(4)争点(4)・損害額

(原告らの主張)

前記(1)ないし(3)(原告ら主張)のとおり,本件命令は違法であり,民法上

の不法行為に該当するところ,同命令により原告らは精神的損害を被ったが,

これを慰謝するには少なくとも300万円を要する。

(被告の主張)

否認ないし争う。

 

第3 当裁判所の判断

 

1認定した事実

本件につき,前提となる事実,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により認めた事

実は次のとおりである。

(1)電電公社の民営化に至る経緯等(前提となる事実(1),イ,甲25,46,

99,乙70,7 3, 弁論の全趣旨)

ア 我が国の国内電気通信事業は,電気通信サービスの公共性や通信網の技

術的統一性を確保するなどの観点から,明治時代から国が独占的にこれを

運営していた。 しかし,先の大戦により荒廃した電気通信設備の回復と,

急激な電信電話の需要の増大に速やかに対応すべく,昭和27年8月,国

内電気通信事業を独占的に取り扱う公共企業体として,電電公社が設立さ

,同公社は電話加入の積滞の解消と全国自動即時化を最大の課題として,

大量の人員(昭和36年から同51年までの間に,電電公社が採用した職

員数は年平均で約1万5000人にも及んでいた。)及び多額の費用を投入

して,電信電話サービス網の整備と拡充に努めた。その結果,昭和52年

度末には加入電話の積滞状態は解消され,翌53年度には全国自動即時化

も概ね達成されるに至った。

イ ところが,上記2つの課題の達成は,被告が多くの職員を確保しておく

必要を大きく減少させた。また,従前,被告は大量の職員を電気通信設備

の運用,保守等の部門に配置していたが,技術革新の進展により電気通信

設備の自動化・省人化か進んだことから,この面からも,被告が多くの職

員を確保しておく必要性は減少することとなり,電電公社は,次第に大量

の余剰職員を抱えることとなった。

ウ 他方,前記アで触れたような電信電話サービス網の量的側面での普及に

より,次第に電信電話サービスの質の向上を求める要請が高まり,電気通

信事業の規制緩和が求められるようになった。そこで,昭和60年4月,

電気通信事業の規制緩和を主旨とする事業法が制定・施行され,電電公社

は解散し,同公社の権利・義務を承継した旧NTTは電気通信事業の一事

業者という位置付けに変わった。

2)昭和60年以降の電気通信事業の自由競争化現象(乙3〜5,35,

38,7 0,83の1,1 3 0,275,弁論の全趣旨)

ア 事業法の施行により,旧NTT以外の新規事業者(以下「NCC」とい

う。)が国内の電気通信事業に参入することが可能となったが,第二電信電

話株式会社(DDI)などのNCCは,まず,低コストで収益を得ること

ができる長距離通信市場,次いで,中距離通信市場に参入して,最新の設

備による低廉・高品質の通信サービスを展開し姑めた。そこで,旧NTT

もNCCの参入が本格化した昭和63年以降,数次にわたって長距離・中

距離電話の通話料金を値下げした。

このように,昭和63年以降,長・中距離電話市場におけるシェアの維

持・獲得を巡り,旧NTT・NCC間の通話料の値下げを軸とする価格競

争が始まった。

イ また,県内市外電話及び市内電話といった短距離電話市場でも,次のと

おり,平成12年ころから相次いだ,国の電気通信事業の規制緩和を背景

として,NTTグループとNCC間の通話料の値下げを軸とする価格競争

が始まった。

(ア)昭和60年の事業法施行後,NCCは主として旧NTTが保有する電

気通信設備を利用して(これを「相互接続」という。),通話サービスの

システム及び通話料を構築していたが,事業法には,旧NTTを含めた

電気通信設備の保有者とNCC間の相互接続に関する定め(接続料金を

含む)がなかったため,原則として,相互接続をするか否か,また,す

るとしてもその接続料金額をどのように設定するかは,相互接続契約な

いし協定を締結する各事業者間の協議に委ねられてきた。

(イ)しかし,まず,平成5年,それまで,NTTの利用ユーザーが負担し

ていた旧NTTに支払う2000円の個人負担金が不要となり,また,

相互接続につき,起点から終点までの料金設定が可能となる「エンド・

エンド料金」が導入された。加えて,アメリカ合衆国が,旧NTTとの

相互接続に係る料金が高額に設定されていることが,NCCが我が国の

電気通信事業へ参入するに当たっての障壁となっているとして,問題視

したことから,相互接続料金を巡る問題が日米規制緩和協議における協

議事項の一つとなった。そして,同規制緩和協議における議論等を通じ

て,我が国は,@平成9年に,旧NTTを含む第一種電気通信事業者に

電気通信設備を有しない事業者に対する相互接続を義務付けたほか,A

平成12年に,接続料金の算定方法につき,従前の算定方式と比べて接

続料金の設定を相当程度,低廉化させる「長期増分費用方式(通信事業

者のネットワーク費用を,実際の費用発生額ではなく,同規模・同能力

のネットワークを現時点において利用可能な設備と技術で新たに構築し

た場合の費月額に基づいて計算する方式)」を導入・実施し,さらに,B

平成12年7月,日米規制緩和協議において,我が国とアメリカ合衆国

が,被告及びNTT西日本などの第一種電気通信事業者が,接続料金を

平成12年4月に遡及して,向後2年間で平成10年度の接続料金を基

準として約20パーセント引き下げることで合意したため,被告は平成

12年度ないし同14年度の3年間で,平成10年度の接続料金を基準

とした加入者交換機接続で22.5パーセント,同じく中継交換機接続

で60.1パーセント,接続料金を値下げすることとなった。

(ウ)以上のような諸種の電気通信事業の規制緩和の結果,旧NTTないし

NTTグループが圧倒的優位を誇っていた県内市外電話市場へのNCC

の参入が容易となったため,平成12年から同13年にかけて,NTT

グループはこれに対抗すべく,県内市外電話の通話料を値下げした。ま

,上記を背景として,平成13年5月から実施される優先接続制度(い

わゆる「マイライン」)を見込んで,同年1月からNCC各社が本格的に

市内電話市湯に参入し始めたことから,NTTグループは電電公社時代

も含めて初となる,市内通話料金の値下げ(3分10円から3分9円,

さらに,3分8.5円へ)を次々と実施した。

ウ 以上のような国の電気通信事業政策の変化により,平成13年に至ると,

NTTグループが展開する固定電話事業は全面的に通話料の値下げを軸と

する自由競争にさらされ,その結果,例えば,我が国全体での固定電話の

通信回数の比率でみてみると,@平成9年度で,旧NTTの長距離通信の

シェアは6 2. 7パーセント,同じく地域通信(県内通信)のそれは89.

1パーセントを占めていたが,A同13年度には,NTTグループの長距

離通信のシェアは50.2パーセント,また,同じく地域通信は65.2

パーセントにまで減少するなど,旧NTTのシェアは次第に低下していっ

た。

3)技術革新による電気通信事業の構造の変化(甲46,乙3 9, 41〜4 6,

7 0,83の2,84〜8 7,1 5 2,1 5 3,275,弁論の全趣旨)

ア 従来,我が国における国民の情報通信の手段は,電電公社ないし旧NT

Tなどが提供する固定電話によるものが主流であったが,平成7年ころか

ら,端末機器の小型・軽量化や,インターネットサービスの開始(いわゆ

る「iモード」),そして,相次ぐ値下げによる通話料金の低廉化もあって,

移動体通信(携帯電話)サービスが急速に成長し,平成12年には,携帯

電話の加入者数が固定電話の加入者数を上回るに至った

イ さらに,コンピュータ技術等の急速な進展によるインターネットの普及,

また,これらに伴う顧客ニーズの高度化・多様化が進み,静止画・動画,

音声,文字などの情報伝達手段となるものを複合的に扱うことを可能とす

るブロードバンドが飛躍的に拡大・発展し,その発展形態の一つとして,

このようなブロードバンドの技術を利用したIP電話が実用的なものとし

て普及し始めた。なお,このIP電話は,固定電話と異なり高額な設備を

必要とせず,しかも,NTTグループなどが保有する電気通信設備をほと

んど利用することなく通話サービスを提供することができるため,固定電

話と比べて,低廉な通話料によるサービスが可能となるものである。

ウ このように,情報通信の技術革新の結果,我が国における情報通信のツ

ールは固定電話以外の媒体へ急速に広がり,固定電話に対する国民のニー

ズ自体が低下していき,例えば,我が国の固定電話の加入契約件数は,平

成9年当時は6045万契約であったものが,その後は減少傾向を辿り,

平成13年度になると5100万契約にまで減少した。

(4)固定電話事業の減退化と旧NTT・被告の財務状況の悪化(甲40〜4 2,

甲109の1,1 1 0 , 乙28,70〜7 3,77〜79,1 0 7,1 3 3,

1 3 5,1 3 6,1 3 8,1 4 4,1 4 5,1 5 3, 証人鳥越隆)

ア 前記く3)のとおり,我が国の情報通信事業の構造は移動体通信やブロード

バンドが国民の重要な情報通信ツールヘと大きく成長していく一方で,従

前,情報通信の主要なツールであった固定電話のニーズが低下し,旧NT

T及び被告の最大の収入源である固定電話市場の規模は縮小化する傾向に

あった。加えて,前記(2)のとおり,その固定電話市場も,度重なる規制緩

和を背景に,長・中距離電話のみならず,県内市外通話や市内通話を含め

た固定電話市場の通話料の低価格化か進んだ。

イ 電電公社が民営化された昭和60年度から旧NTTの組織再編直近の平

成10年度までの各年度における旧NTTの総収入,営業収益,営業利益

及び経常利益の推移を整理すると別表2−1のとおりである。また,被告

が設立された平成11年度から同17年度までの各年度における被告の営

業収入,営業損益,経常損益並びに当期損益の推移を整理すると別表2−

2のとおりである。

そして,別表2−1によると,旧NTTの営業収入は,平成4年度ない

し同6年度にかけて減少し,平成7年度及び同8年度に回復・増加に転じ

たものの,平成10年度には前年比で約2000億円減少している。また,

営業利益及び経常利益の推移に着目すると,平成7年度ないし同9年度に

いったん回復しているものの,平成3年度以降の営業利益及び経常利益は

概ね減少傾向にあり,旧NTTの組織再編直近である平成10年度の営業

利益及び経常利益は,平成9年度のそれと比較すると,営業利益は前年比

の約59.6パーセント,経常利益は前年比の約66.5パーセントにと

どまっている。

さらに,別表2−2によると,被告の平成11年度の財務数値は,最終

的な収支である当期損益が1572億円の損失を計上し,また,同12年

度の財務数値は当期損益が200億円の利益を計上しているものの,営業

利益及び経常利益は平成11年度(なお,同年度の決算対象は平成11年

7月から同12年3月までの8か月のみを対象とするものである。)の営業

利益及び経常利益と比べても,前者は前年比約48パーセント,後者は前

年比約24.8パーセントにとどまっている。加えて,平成13年度の営

業利益は平成12年度におけるそれの約13.2パーセントの45億円に

とどまり,さらに,経常利益は同じく前年度におけるそれの約53.1パ

ーセントの75億円にすぎず,当期損益も1867億円の損失を計上する

など,その財務状況は急激に悪化した。

他方,構造改革後の状況が反映されているとみられる平成15年度の被

告の財務数値は,平成13年度と比べても営業収益は減少しているにもか

かわらず,営業損益は864億円の利益を計上し,また,経常損益も97

8億円の利益を計上し,その後の年度の財務数値は;営業収益は増加して

いないにもかかわらず,営業利益及び経常利益は,それぞれ約700億円

ないし約1000億円の範囲内の利益となっている。

求@構造改革の策定及び実施(前提となる事実求C別表1−1〜1−8,

乙22,36,37,40,70,7 3,1 0 7,1 2 6,2 1 4,

274,301,304,344,証人鳥越隆,同土井健治,同浅見敬行,

同星司,同大田原敏夫)

ア 昭和35年度から平成16年度までの間における電電公社,旧NTT及

び被告の各年度ごとに新規採用した職員・社員数と在籍職員・社員数の推

移を整理すると別表3のとおりであるが,前記(球イのように,元々,旧

NTTは電電公社時代からの多数の余剰職員を抱えていたため(旧NTT

が発足した昭和60年当時の同社の社員数は31万4000人であっ

た。),旧NTTは民営化後,社員を関連会社へ転籍させるなどしたほか,

早期退職の募集を通じて社員数の削減に努めたが(その結果,平成11年

の組織再編直前の旧NTTの社員数は13万3600人まで減少してい

る。),それでも,被告発足当時の社員数は5万8100人であり,総費用

に占める人件費の割合も約20パーセントを超えていた。

イ このような中,前記(4)の状況に危機感を抱いたNTTグループは,構造

改革を策定して,収益力を確保するとの観点から,人件費の削減を中心と

して徹底的にコストを削減し,また,被告及びNTT西目本の事業構造の

軸足を固定電話事業から,発展可能性及びそれに件う収益性が期待できる

IP・ブロードバンド事業へ転換することとし,その一環として,前提と

なる事実(5),ウのOSイヒ施策及び前提となる事実(5),オ及びカの甲選択を

実施した。

そして,被告は,本件社長通達発出後,@同社長達を「新会社の移行に

あたって」及び「新会社における労働条件等の概要」と題する文書にまと

めて社員に配付して,各職場ごとでその趣旨・内容やスケジュールなどの

ガイダンスを行い,A平成14年12月10目以降には,全社員を対象に,

各職場の上長による個人面談を実施するなどした上で,B社員に雇用形態

選択通知書を交付し,同通知書を平成14年1月18目までに提出するよ

う求めた。

ウ なお,構造改革施策が提示された平成13年4月から甲選択が実施され

た平成13年12月ないし同14年1月までの間,被告の平成13年度中

間決算が公表されたが,その内容は下記のとおりであり,営業収益が15

2億円超の損失,経常損益が166億円の損失,そして,中期未処理損益

も156億円超の損失を計上するに至った。

電気通信営業収益  1兆1794億4500万円

電気通信営業費用  1兆1879億4400万円

電気通信事業営業損失    84億9700万円

附帯事業営業収益    1014億4500万円

附帯事業営業費用    1081億8300万円

附帯事業営業損失      67億3500万円

営 業 損 失      152億3400万円

経 常 損 失      166億5000万円

中期未処理損失      156億7900万円

工 平成14年5月1日から構造改革による被告の新体制が始動したが,こ

れにより,原告らの配管は次のとおりとなった。

(ア)NTT−ME東北仙台支店において原告日野,同成田,同古宮が従事し

ていた業務(これが被告からの業務委託によるものであったことは前提

となる事実(2),イのとおりである。)は,宮城県地域のOS子会社である

株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー宮城(以下「NTT−ME宮城」

という。)に委託されることとなったため,甲選択において必要的選択対

象社員であり,かつ,満了型を選択したとみなされた原告成田,同古宮

は,平成14年5月1日付けでNTT−ME東北の経営企両部総務担当

へ異動となり,IP・ブロードバンドに関する知識及び法人営業業務に

おけるスキルの習得,向上等を目的とするOJTや集合研修などといっ

た法人営業研修を受けた後,同年7月1日からNTT−ME東北営業部

ソリューションビジネス担当として,各種地図のデークベースの整備作

業に従事した。

また,原告日野は甲選択においては任意的選択対象社員であったため,

同人は出向先がNTT−ME東牝からNTT−ME宮城に変更された。

(イ)NTT−ME東京支店において原告鏡が従事していた業務(これも被

告から業務委託によるものであったことは前提となる事実(2),アのとお

りである。)は,東京都地域のOS子会社である株式会社エヌ・ティ・テ

ィ エムイー東京(以下「NTT−ME東京」という。)に,また,NT

T−ME第3神奈川支店において原告横澤が従事していた業務(これも

被告からの業務委託によるものであったことは上記と同様である。)は,

神奈川県地域のOS子会社である株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー

神奈川(以下「NTT−ME神奈川」という。)にそれぞれ業務委託先が

変更されたため,甲選択において任意的選択対象者であった原告鏡,同

横澤の出向先は,NTT−MEからOS子会社であるNTT−ME東京,

ないし,同神奈川に変更された。

(ウ)甲選択当時,原告古舘は宮城支店営業部においてカスタマー担当とし

て勤務していたが,同人が従事していた業務は,宮城県地域のOS子会

社である株式会社エヌ・ティ・ティ サービス宮城(以下「NTTサー

ビス宮城」という。)へ委託されることになったため,甲選択において必

要的選択対象社員であり,かつ,満了型を選択したものとみなされた原

告古記は平成14年4月24日付けで同支店営業部・第一法人営業部門

業務推進担当へ異動となり,IP・ブロードバンドに関する知識及び法

人営業業務におけるスキルの習得,向上等を目的とするOJTや集合研

修などといった法人営業研修を受けた後,同年7月1日付けで同支店法

人営業部・法人営業担当へ異動となり,法人ユーザーヘの営業活動等に

従事することとなった。

(エ)原告緒方は,甲選択において必要的選択対象社員ではなかったが,同人

が当時従事していた山形支店営業部におけるユーザー回線トラヒック調

査が,構造改革による業務集約等の対象となり,これが同文店内の各部

門や山形県地域のOS子会社である株式会社エヌ・ティ・ティ サービ

ス山形(以下「NTTサービス山形」という。)の営業部門に分散され,

業務量が激減することになったため(若干名の社員が配置されるだけと

なった。),原告緒方は再配置の対象となり,同人は一時的に山形支店内

の部門に配置された後,NTTサービス山形へ出向となり,フレッツA

DSLなど個人向け商品等の電話勧誘による販売業務に従事することと

なった。

(オ)原告大内は,甲選択において必要的選択対象社員であり,かつ,みなし

満了型と取り扱われたが,当時同人が従事していた専用線サービスセン

タの業務はOS子会社への移行対象業務とはされていなかったため,そ

の職務及び勤務事業所に変更はなかった。

求@構造改革リファイン施策の実施(甲d5,乙21,2 2,2 7,2 9,5

6,5 9,6 0,7 0,8 1,1 2 6,1 2 9,1 3 3,1 4 5,2工4,

2 1 7,2 1 9,221,228の1及び2,274,301,309,3

14,3 1 7,344,346,取下げ前原告佐藤隆,証人鳥越健治,同

土井健治,同大田原敏夫,同浅見倣行,同星司,弁論の全趣旨)

ア 被告は,平成14年度当初の収支計画を総収益2兆4410億円,費用

が2兆397億円で経常損益を440億円の利益としていたが,被告の平

成14年度の中間決算は下記のとおりであり,先に実施した構造改革によ

る人件費削減効果もあって,営業損益,経常損益及び中期純損益ともに利

益を計上した。

営業収益   1兆1 7 1 8億円

営業費用   1兆1309億円

営業利益      409億円

経常利益      493億円

中期純利益     295億円

イ このような中,被告は,構造改革では業務委託の対象とされなかった業

務をも含めて,0S子会社への業務委託対象とする業務(移行対象業務)

の範囲などを見直し,また,被告,被告グループ各社及びOS子会社を含

めた全体の業務につき,より一層の効率化・合理化の実施などを志向する

構造改革リファインを策定した。その内容を,本件で関連する限度で摘示

すると,大要,次のとおりである。

(ア)被告及びグループ各社の役割を明確化し,被告グループ内での業務・

役割の重複の排除並びに市湯構造の変化に件う各社の役割を見直し,I

P・ブロードバンドビジネス市場における被告グループのトータルパワ

ーアップを図る。

(イ)OS子会社の機能を充実させ,@支店から法人営業業務の一部及び営

業企画業務をOS子会社へ追加移行させ,また,A本社コストセンク等

から設備構築・サービス運営等に係わるオペレーション業務をOS子会

社へ移行させる。

(ウ)NTT−ME各社(NTT一ME,NTT−ME東北が含まれる。)の

事業・役割等を見直して,同社を法人向け2種事業等に特化するととも

に,NTT−ME3社体制を1社体制へ移行させる。

伴)その他,被告及びグループ各社の事業・役割を見直し,順次再編統合

等を実施する。

ウ 以上の構造改革リファインの結果,原告らが従事する職務ないし業務に

つき次のような影響が及ぶこととなった。

(ア)原告大内が従事していた専用線サービスセンタにおける業務は,上記

イ,(イ),Aにより,平成15年4月以降,0S子会社となるNTT−M

E東北(なお,上記イ,(ウ)の実施により,NTT−ME東北がNTT−

ME宮城を吸収合併し,0S子会社化することとなった〔乙344・9

頁,346〕。以下,この組織再編後のNTT一ME東北を「新NTT−

ME東北」という。)に業務委託されることとなった。

(イ)原告成田及び同古宮が平成14年7月以降従事していたNTT−ME

東北営業部での電子地図の基図データベース構築業務は,平成15年7

月に他の被告のグループ企業に移管されることになるとともに,同人ら

の出向先であるNTT=ME東北が上記(ア)のとおり,0S子会社化される

こととなった。

(ウ)原告日野,同緒方,同鏡及び同横澤は,同原告らが乙選択において必

須選択対象社員であり,かつ,満了型を選択したものとみなされたこと

から,NTT−ME宮城,NTTサービス山形,NTT−ME東京及び

同神奈川への出向が解かれ,被告に復帰することとなった。

戟@乙選択当時,原告古舘は宮城支店の法人営業部・法人営業担当として法

人ユーザーヘの営業活動等に従事していたが,上記イ,(イ),@により,

宮城支店法人営業部の業務の相当部分が新NTT−ME東北へ業務委託

されることとなり,同部門の業務量が減少することとなったため,原告

古館につき,再配置を検討する必要が生じた。

エ また,構造改革リファインの実施に伴い,被告は平成14年度以降も各

年度ごとに雇用形態の選択を実施することとし,平成14年度につき乙選

択を実施した。そして,本件新社長達発出後,被告は,甲選択時と同様に,

社員に資料を配付して,その内容及び手順等を説明し,また,全社員ない

しは選択対象者に対し上長による個別面談を実施し,雇用形態選択通知書

を交付して,平成15年1月31日までに同通知書を提出するよう求めた。

その結果,平成15年3月時点で満年齢50歳に達する社員のうちの約3

700名が退職・再雇用型を選択し,満了型等社員は原告緒方,同日野,

同鏡及び同横渾を含めた約100名にとどまった。また,雇用形態の再選

択となった平成14年度末年齢で満51歳以上59歳以下の社員のうち,

退職・再雇用型を選択した社員は約200名であり,満了型等社員は原告

大内,同古舘,同成田,同小宮を含めて約400名であった。

7)情報PT及び販売PT設置の経緯及び組織構成の概要(甲g4,乙1 7 4,

1 7 5,1 7 8,243,246〜248,250,270,327,証人

布田智行,証人城山厚生,弁論の全趣旨)

ア 情報PTが新設されるに至った経緯等は次のとおりである。

(ア)旧NTT時代も含めて,被告の業務には多数のコンピュータシステムが

用いられているところ,旧NTT時代の各支社,また,被告の本社,各

支店,各部門などは業務処理に要するシステムを独自に構築し,また,

統一的なシステムとして供されたものでも,各支店,各部門において独

自の修正を加えるなどしたため,同一あるいは類似する業務に供される

システムが本社,支社,支店,部門ごとにシステムの内容・構成が異な

るなど,多種・多様なシステムが各部門等に散在していた。

(イ)平成14年2月,技術部情報システム部門は,NTTコムウェアと連

携して,本社が開発した主要な50システムの統廃合の可否及び統廃合

を実施した場合の費用削減効の有無,その程度などを検討したところ,

十分な削減効果が見込めることが判明した。また,構造改革後の平成1

4年11月,情報システム部門が中心となって,被告に点在する上記シ

ステムの現状等を調査したところ,各部門等が独自に開発したシステム

が約300にのぼり,被告のITに開する支出も既存システムの維持・

管理に関わるコストが約90パーセントを占め,そのため,新サービス

や新規システムのコストに約10パーセント程度の支出がされていない

など,開発が必要なシステムに十分な資金が行き渡っていなかったこと

などが判明した。

そこで,平成14年11月,情報システム部門は常務会にシステムの・

統廃合とこれによるコスト削減などを付議したところ,同会は効果的な

システム投資・コスト削減の実現に向け,施策・コストの一元管理と計

画的推進を担当するITイノベーションワーキンググループを設置する

ことを決定した。

そして,同ワーキンググループは,まず,NTTコムウェアから提示

されていたシステムの統廃合のパターンを用いて,上記()のとおり各部門

等に散在しているシステムを効率的,効果的に統廃合できるか否かをシ

ミュレーションをしてみたが,結局,各部門等が用いるシステムの統廃

合には,当該システムが対象とする業務のフローを踏まえてのシステム

の状況の把握,すなわち,当該システムの状況及びこれが対象とする現

実の業務の内容・フローを調査・検討する必要があり,加えて,各部門

等で用いられている各種システムの機能や,そこで取り扱われているデ

ータ等の相互関係をも調査・検討する必要があるとの結論に達した。ま

た,上記ワーキンググループは,当時,被告が展開していた光・IPサ

ービス営業に関するシステムについても検討を進めていたが,これにつ

いては,業務プロセスのチェックを容易にし,かつ,データベースの精

度を向上させる必要があった。そこで,以上の検討を踏まえて,被告は,

@情報システムにおける機能,業務の調査,分析,A情報システムに流

通する広範なデータの調査,分析,B光IPサービスの開通業務及びそ

のデータの調査,分析等を一元的かつ効率的に実施するための部門とし

て技術部に約100名規模の情報PTを設置することとし,平成15年

2月には,技術部に情報PTの発足に向けた事前検討グループが組織さ

れ,同グループによる情報PT設置の準備作業が進められた。

()以上の経緯で,平成15年4月,東京都葛飾区金町に拠点を置く情報

PTが発足した。同PTの組織構成は,大要,企画担当部門,上記@,

Aを担当する体系化推進担当及び上記Bを担当する光SOプロセス・デ

−タ監査担当に分かれているが,このうち体系化推進担当は,さらに,

システム統廃合を推進するために各種システムの調査・分析・統廃合の

ための業務改善策の提案を担当する「システム統廃合支援業務」(いわ

ば,ビジネスプロセスとシステムとの関係から,システムにアプローチ

する。)と,各種システムの入出力データ項目を調査して,その調査結果

を一定のシナリオ,マニュアルに定められたルールに則って,システム

に分類・登録し,もって,各種システムが取り扱うデータの流通状況の

把捉に資するデータベースの作成を担当する「データ管理業務」(いわ

ば,システムデータの重複関係などから,システムにアプローチする。)

から構成されていた。

イ 販売PTが新設されるに至った経緯等は次のとおりである。

(ア)平成13年3月,東京支店営業部は,同年8月から本格的な販売が開始

される光IPサービス(商品名・Bフレッツ)及び将来の高速サービス

メニューの増加を視野に入れて,SOHO・マスユーザーに対する販売

体制の構築,効率的な販売手法の確立,また,迅速な工事の推進等を目

的とする「光・エPサービスプロジェクト」を設置するなどして,光・

IPサービス営業を積極的に展開していた。また,平成14年度に入り,

東京支店営業部及びNTTサービス東京(構造改革におけるOSイヒ施策

により設立されたOS子会社であり,平成14年5月以降,業務委託に

より,東京支店が展開していたマンション向けの営業を行うことになっ

た。)は,IP・ブロードバンド分野の販売強化を最重要事項として,そ

の販売体制を強化し,さらに,積極的な営業活動を展開した。

しかし,首都圏においては,有線ブロードネットワークス(現在の「U

SEN」)やCATV事業者,そして,ヤフーBBを展開するソフトバン

クなどが先行して,大規模マンションや光回線化が完了したマンション

を対象に,積極的な営業活動を展開していたこと等もあって,平成14

年8月当初時点でのBフレッツの販売実績は年間予定計画の16パーセ

ント,フレッツADSLのそれは年間予定計画の35パーセントにとど

まるなど,十分な成果は得られていなかった。

(イ)そこで,平成14年9月,東京支店及びNTTサービス東京などは「ブ

ロードバンド普及本部」を立ち上げ,同本部は,平成14年10月から

同年12月までの3か月間を「ブロードバンド普及月間」として,Bフ

レッツのエリア拡大(Bフレッツの提供対象範囲が平成14年9月から

戸建などの小規模住宅にも拡大された。)を契機として,エリア営業(在

宅率を考慮して,平日は主として事務所を,土曜日・休日は個別住宅を

中心とする営業などを行った。)を展開するなどの積極的な営業活動を実

施したが,ブロードバンド普及月間中の東京エリア全体の販売実績は,

フレッツADSLは8万9500回線(普及月間の目標値である10万

5000回線の85パーセント)に達したものの,Bフレッツは1万2

700回線(普及月間の目標値である2万7000回線の47パーセン

ト)にとどまった。

(ウ)以上の経緯を踏まえ,被告は,ブロードバンドビジネスの販売力強化

が喫緊の課題であるとの認識の下,NTTサービス東京では人的制約か

ら十分に対応し得ていない戸建住宅,中小規模マンションなどといった

SOHO・マスユーザー層等を対象として,@一般家庭等を対象とする

訪問営業を実施して,訪問先の光・IPサービス需要を発見・創出する

とともに,訪問先が他社のADSL回線等の利用者である場合などに,

他の事業者の動向などといった情報を収集するとともに,被告サービス

ヘの切替えの提案等を行う,また,A上記の情報収集の結果を分析,検

対して東京エリアにおける販売戦略を策定し,実用化のための営業戦略

を構築する組織として東京支店に販売PTを設置することとし,平成1

4年12月25目に開催された経営協議会(被告とNTT労組が経営の

基本施策や諸種の経営問題についての協議を行う目的で設置したもの)

でその旨が発表された。

そして,平成15年3月,東京支店営業企面部に結成された販売PT

設置に向けたワーキンググループにより,人員規模を約1 5 0名とする

ほか,業務内容の検討や事業計画の策定などの準備が進められ,同年4

月,東京都足立区及び同板橋区の2か所に販売PTが発足した。

(エ) 発足当時の販売PTの構成は,第1ないし第6グループから成る特販

担当(このうち,第1ないし第3グループは足立区千住に,第4ないし

第6グループは板橋区成増に拠点を置いた。)が1 0 7名,システムエン

ジニアリング担当が14名,営業推進担当が24名の計1 4 5名であっ

た。このうち,特販担当は,戦略営業活動の策定とその実践活動を担当

する第1グループと,個別訪問によるBフレッツやフレッツADSLと

いった各サービスの営業活動(対面による営業と対象個宅不在時のポス

ティングをも含む。)や,家電量販店などでの店頭販売による販売ないし

販売促進活動及びマーケティング情報収集活動(乙260のようなアン

ケート調査用紙を訪問先等に交付して,アンケートに応答するよう依頼

するもの。)を担当する第2ないし第6グループから組織されていた。

8)本件命令に至る経緯(乙1 2 6,1 7 4,2 14,243,274,29

7,301,乙3 14,3 1 7,320,344,証人浅見敬行,証人星司,

証人大田原敏夫,弁論の全趣旨)

ア 原告大内,同日野,同成田及び同古宮(以下「原告大内ら」という。)が

情報PTへの異動対象に選定された経緯は次のとおりである。

帥 平成15年3月,前記(7,ア、(イ)の情報PTの設置に向けた事前検討グ

ループは本社に対し,交換機,伝送無線装置,専用線サービス回線設備,

電気通信線路設備の設計や保守等の業務を行うための設備系システム及

び客先からの注文受付,料金請求・計算等を行う顧客系システムの仕様

書や設計書,業務マニュアルを理解するだけの業務知識,経験等を有す

る者(各種システムを操作し,経験の豊富な者が望ましい。)という人選

基準(以下「情報PT基準」という。)を伝えて,同PTへの配属予定人

員約1 0 0名の選出を依頼した。そして,上記の人選基準は本社を通じ

て各支店・部門へ伝達された。

(イ)原告大内らが所属する各部門等は,本社を通じて提示された情報PT

基準を踏まえて,次のとおり,原告大内らを情報PTへの異動候補者に

選定した。

a 原告大内の所属する専用サービスセンタは,本社から情報PT基準

に則した「専用線システムの仕様書,設計書を理解するだけの業務知

識,経験を有する者で,専用線のシステムを操作し,経験の豊富な者

が望ましい」とする人選基準に合致する社員を選定するよう依頼され

たのに応じて,原告大内の勤務事業所であった「東北専用サービスセ

ンタ」が扱う業務のうち,サービスの受付,設計,設備管理,そして,

原告大内が従事していた専用回線の故障受付等業務を含む保守運営業

務が,構造改革リファインにより,0S子会社である新NTT−ME

東北に業務委託されることを踏まえ,東北専用サービスセンタにつき,

0S子会社への移行対象業務に従事していた原告大内を含めた5名を

異動の必要が生じている者として情報PTへの異動を検討する対象と

し,結局,この5名を情報PTへの異動候補者として選出した。

このうち,原告大内が情報PTへの異動候補者に選出された理由は,

同人が専用回線の故障受付や故障手配等の業務に長年従事しており,

電気通信設備に関わる業務経験を十分に有し,かつ,これらの業務を

通じて,同人が「DAISY」,「DAISY−Sub」,「N−ACT

AS」(いずれも専用線のSO工事に関わるシステム),「SCARLE

T」(専用線の故障受付業務等に関するシステム)といった基幹システ

ムの操作経験を有していたこと,また,原告大内が,専用線の故障受

付等の業務やその業務に関わる情報システムの仕組み・内容について

相当高度な技能,知識を有していると判断されたためである。

b 原告日野が所属していた宮城支店(なお,当時,原告日野はOS子

会社であるNTT−ME宮城に出向していたが,同人が満了型等社員

であったため,被告宮城支店へ復帰することとなっていた。)は,本社

から情報PT基準に合致する社員を選定するよう依頼されたのに応じ

て,同支店に勤務する満了型等社員のほか,0S子会社であるNTT

−ME宮城への出向が解除されて被告に復帰することとなる満了型等

社員計10名(原告日野のほか,同古館も宮まれる。)を異動の必要が

生じている者として,情報PTへの異動を検討する対象とし,結局,

このうちの原告日野のほか1名(計2名)を情報PTへの異動候補者

として選出した。

原告日野が情報PTへの異動候補者として選出された理由は,同人

が専用線の開通工事や故障修理等に関わる業務に長年従事しており,

かつ,これらの業務を通じて「ZYP−SYS」という基幹システム

の操作経験を有しているため,情報PT基準を満たしていると判断さ

れたことにある。

c 原告成田及び同古宮の出向先であったNTT−ME東北は,被告本

社から,情報PT基準に合致する社員を複数,候補者として選定する

よう依頼されたのに応じて,同社が構造改革リフアインにより新NT

T−ME東北としてOS子会社化すること等を勘案し(また,同社で

上記原告らが従事していた電子地図の基図データベース構築業務は他

の被告の関連企業に移管される予定となっていた。),満了型等社員と

して同社に出向している社員22名(原告成田,同古宮を含む。)を,

異動の必要が生じている者として,優先的に情報PTへの異動を検討

する対象とし,結局,このうちの10名(原告成田,同古宮を含む。)

を情報PTへの異動候補者として選出した。

原告成田,同古宮が選出された理由は,@原告成田は平成9年から

5年間,NTT−ME東北において,ホームFAXや大型FAXなど

の通信機器の故障時の故障原因の特定,故障修理に関わる部品調達,

修理代金の見積もり,故障修理等に長年従事して故障修理の業務フロ

一に精通しており,また,これらの業務を通じて基幹システムである

「ADMACS」システムの操作経験を有していること,A原告古宮

も平成9年から5年間,バケット交換網管理システムである「DNA

S」,バケット交換網試験システム「DNTS」,バケット交換網制御

システム「DNCS」といった各種システムを操作して,パケット通

信回線等の新規回線選定及び回線開通の業務等に従事していたことか

ら,両名とも,情報PT基準を満たしていると判断されたことにある。

イ 原告緒方,同古舘,同鏡及び同横澤(以下「原告緒方ら」という。)

を販売PTへ配置するに至った経緯は次のとおりである。

(ア)前記(7),イ,(ウ)の販売PT準備ワーキンググループは,平成15年3

月,同PTへの配置予定数である約1 5 0名すべてを,東京支店内から

確保することはできなかったため,本社に,被告の商品・サービスに関

する知識を有し,又は,実際に客への対応業務に従事した経験を有する

者という旨の人選の基準(以下「販売PT基準」という。)を伝えて,販

売PTで予定している人員の選出を依頼した。なお,この販売PT基準

では,法人営業,あるいは,営業の経験の有無は人選基準の要素として

明示的には含まれていない。

(イ)原告緒方らが所属する各部門等は本社を通じて提示された販売PT基

準を踏まえて,次のとおり,原告緒方らを販売PTへの異動候補者と選

定した。

a 原告緒方が所属していた山形支店は,本社から販売PT基準に合致

する社員を選定するよう依頼されたのに応じて,0S子会社であるN

TT−ME山形への出向が解かれ,被告に復帰することとなっていた

原告緒方ほか1名(計2名)を,異動の必要が生じている者として,

販売PTへの異動を検討する対象とし,結局,このうちの原告緒方を

販売PTへの異動候補者として選出した。

原告緒方が選出された理由は,原告緒方がユーザートラヒック調査

業務において,営業担当とともに法人ユーザーに対する営業活動に関

与した経験があること,また,原告緒方はNTTサービス山形でIP

アウトバウンドテレマ担当として,IP系商品,ネットワークサービ

ス商品,通信機器等の商品やサービスを提案,折衝する営業業務に従

事していたこと,同人の資質,性格が真面目で研究熱心であったこと,

コンピュータに苦手意識を有する者が多いとみられる同年代の者と比

較すると,原告緒方が有するコンピュータ知識は豊富な部類とみられ

たこと,以上の点から販売PT基準を満たしていると判断されたため

である。

b 原告古館が勤務する宮城支店は,本社から販売PTの異動候補者の

選定が依頼されたのに応じて,原告古舘が法人営業部の法人営業担当

として,法人ユーザーヘの営業活動,お客様オーダーに対する事務処

理業務に従事していたものの,同支店の法人営業の相当部分がOS子

会社となる新NTT−ME東北に業務委託されることを踏まえ,原告

古舘を含めた満了型等社員計10名(は,前記のとおり,原告日野も含

まれている。ただし,平成14年度末年齢が59歳の社員を除く。)を

異動の必要がある者としてその検討対象とし,最終的に,販売PT基

準に合致する者として原告古館ほか5名が販売PTへの異動候補者に

選出された(もっとも,後に1名は健康状態に問題があったため,異

動候補者から除外された。)

このうち,原告古館が選出された理由は,同人が長らく従事してい

た電報受付業務を通じて,顧客対応経験を有していること,また,同

人が平成12年12月の宮城支店営業部・カスタマー担当に異動した

後,その担当業務が営業業務にシフトしていっており,同14年10

月以降は法人営業を担当していたという職務経歴から,販売PT基準

を満たしていると判断されたことにある。

c 原告鏡が所属する東京支店は,本社及び同支店営業企画部から販売

PT基準に合致する社員を選定するよう依頼されたのに応じて,0S

子会社であるNTT−ME東京への出向が解かれ,被告に復帰するこ

ととなっていた満了型等社員(原告鏡はこれに当たる。),移行対象業

務に従事している満了型等社員22名を優先的に販売PTへの異動を

検討する対象とし,結局,このうちの原告鏡を同PTへの異動候補者

として選出した。

原告鏡が販売PT基準に合致するものとされた理由は,故障受付業

務において客先からの苦情処理に対応していた当時の原告鏡の応答ぶ

りは丁寧であり,かつ,トラブルが発生したこともないというもので,

客対応の技能が極めて高いとみられること,電話回線に関する保守業

務を通じて,ISDNやBフレッツなどのネットワークサービスに関

する技術的知識を有するとみられたこと,同人のコンピュータに関す

る知識も同年齢の社員と比較すると豊富な部類に入るとみられたこ

と,また,同人は業務に対し,責任感を持って取り組んでおり,また,

非常に業務に対する取り組み姿勢が前向きであることを勘案して,販

売PT基準に合致すると判断されたことにある。

d 原告横澤が所属する神奈川支店は,本社から販売PT基準に合致す

る社員を選定するよう依頼されたのに応じて,0S子会社であるNT

T−ME神奈川への出向が解かれ,被告に復帰することとなっていた

原告横澤を含む満了型等選択社員4名をその検討対象としたところ,

原告横澤を除く3名は販売PT以外の部署が提示した人選基準に合致

していたため,同支店は,原告横澤が販売PT基準に合致するか否か

検討を進めたところ,原告横葎は,従前の職務を通じて,客先対応の

経験はなかったが,取引関係者や官庁関係者との事務調整などの経験

を有していたこと,また,取り分け,同人は独自でホームページを運

営するほどのコンピュータ知識を有するほか,同人は,従前から電話

通信設備の設置等に関する業務に従事していたため,一般家庭に通じ

る電話通信設備に関する知識を有するとみられたこと,さらには,同

人は態度や言葉遣いも堂々としていて,人前でも流暢によどみなく話

すことができ,しかも,人に対する接し方は親切で,責任感も強いな

どといった原告横澤の姿勢,態度等を考慮して,本社と協議の上で同

人を販売PTの候補者として選出した。

ウ 以上の経緯を経て,被告は原告らに対し,平成15年4月1日付

けをもって,異動先を下記のとおりとする本件命令を発した。

情報PTシステム統廃合支援業務担当 原告日野,同成田及び同古宮

情報PTデータ管理業務担当 原告大内

販売PT物販担当(第2グループ)原告古舘

同(第3グループ)原告横澤

同(第4グループ)原告鏡

同(第6グループ)原告緒方

 

2 争点(1)・勤務事業所,職務限定の合意の有無

1)原告鏡の勤務事業所の限定合意の有無

原告鏡が電電公社当時の東京電気通信管理局の採用であったことは証拠

(乙c1)及び弁論の全趣旨により認められ,また,本件命令により原告鏡

は東京電気通信管理局の管内に相当する(原告大内忠雄・27頁参照)東京

支店営業企面部に異動を命じられたことは前提となる事実(1),ウ(別表1−

7)のとおりである。してみると,勤務場所の限定合意についての原告らの

主張を前提としても,本件命令による原告鏡の勤務事業所の変更は,原告鏡

と被告間の労働契約に反しないことは明らかである。

2)原告鏡を除く原告ら(以下,この項において単に「原告ら」という。)の勤

務事業所の限定合意の有無

ア 公社規則及び被告就業規則において,職員ないし社員の勤務場所の指定

につき定めた公社規則51条,被告就業規則60条は,その変更につき何

らの限定をも加えていないことは前提となる事実(8),イのとおりであり,

また,いずれの原告も,電電公社への採用に当たり上記の内容の公社規則

を遵守する旨の誓約書を被告に交付している(乙a 2, b 2, e 2,f 2,

9 2,h 2,i2)。しかも,一部原告らは,採用手続において,その勤務

局所を当該地方局管内に限定する旨が明示されたわけではないことを自認

し(原告大内忠雄・27頁,同日野正美・16頁),また,公社規則51条

及び被告就業規則60条による広範な異動義務を負うことも否定していな

い(原告緒方哲夫18〜19頁,同横澤仁志・18〜19頁)。さらには,

本件命令が発せられた際,原告らは被告に同命令に異議をとどめる旨の書

面(甲a 3,b 2,e 3,f 2,93,h3,i2)を提出しているとこ

ろ,同書面には,勤務事業所を限定する合意の存在を指摘する記述は存在

しない。

イ 他方,原告らは,@甲13の1,同の2の電電公社の地方局名で掲載さ

れた求人広告の掲載内容や,A採用手続の面接で,面接担当官から勤務局

所につき「東北6県のどこでもよいか」,F勤務地が仙台でなく,東北のど

こになっても構わないか」などと尋ねられたこと(甲e4,f 3,h4,

原告日野正美・1頁,同成田徹・1頁,同古宮正道・2頁)を根拠として,

原告らの勤務場所を採用に係る地方局の管内に限定する合意が成立してい

たと主張する。

しかしながら,上記@については,証拠(甲13の1,同の2)による

と,昭和45年11月25日に発行された河北新報には「応募職種 技術

系および事務系の各職種」,「勤務場所 東北6県内の電話局・電報局・電

報電話局,電話中継所・無線中継所等」とする東北電気通信局職員部職員

課名での求人広告が,また,同49年7月10日に発行された朝日新聞(東

京本社発行)には「職種 電電公社の各分野の仕事」,「勤務場所 東京都

内の電報電話局等」とする東京電気通信局職員都職員課名での求人広告が

それぞれ掲載されていることが認められるものの,上記求人広告はいずれ

も,勤務場所「を東京都内の電報電話局等」ないし「東北6県内の……無

線中継局等」としており,その掲載の体裁,内容に照らしても,これが必

ずしも勤務場所を限定する趣旨であったと断じ得るようなものでもない

(なお,別表1−1ないし1−8上の原告らの入社時期に照らすと,甲1

3の1,同の2はいずれも原告らの入社とは無関係のものである。)。 して

みると,他に的確な裏付けも存在しない本件においては,かかる求人広告

の内容が勤務場所を限定する合意が成立していたことの裏付けとなるもの

とはいえない。

また,上記Aについても,証拠(甲e 4,f 3,h4,原告日野正美・

1頁,同成田徹・1頁,同古宮正道・2頁)によれば,原告ら主張のよう

な趣旨を面接担当官が述べたことは認められるものの,原告日野,同成田,

同吉宮の面接状況は必ずしも明瞭ではないため,上記発言のみを取り出し

ても,あまりにも断片的なものというほかない。また,この点を措くとし

ても,東北電気通信局採用の職員が当初配属されるのは,通常その管内で

あると解されるから,上記発言は,管内での配置先の指定に特段の考慮を

要する事情の有無を確認する趣旨で発せられたにすぎないものとみられ,

このような発言があったとしても,これが直ちに将来にわたっての勤務場

所をその管内に限定する趣旨とまで解することはできない。してみると,

上記のような発言の存在から,直ちに,原告らの主張の合意の存在を基礎

づけることはできない。

なお,原告らは,電電公社東北電気通信管理局が,新入社員に対するオ

リエンテーション用の説明冊子(甲99)を作成・配布していたことをも

上記主張の根拠とするようであるが,甲99を通覧しても,社員の勤務局

所を限定する趣旨を看取することができる記載も見当たらない以上,東北

電気通信局名で作成された甲99のような冊子が新入社員に交付されてい

たからといって,何ら,原告らの主張の裏付けとなるものではない。

ウ 以上によれば,採用管理局管内以外の勤務場所には一切就かせないとい

う趣旨で,原告らの勤務場所の範囲を限定する旨の合意が電電公社の入社

時点において,成立していたとは認めるに足りない。

エ また,原告らは,同人らの採用後の勤務場所が採用に係る電気通信管理

局管内に限定されてきたことを強調して,原告らの勤務湯所につき,採用

管理局内に限定することが労使慣行として確立し,この慣行内容が原告ら

と被告間における労働契約の内容となっていると主張する。確かに,原告

らが電電公社に見習社員として雇用された後の勤務場所及びその所在地は

別表1−1ないし1−8のとおりであり,これによると,原告緒方が昭和

62年の異動の際,その勤務先所在地が仙台市から山形県山形市に変更さ

れたこと,また,原告成田及び同古宮が平成14年7月の異動(NTT−

ME東北営業部のソリューションビジネス担当に異動)の際,その勤務先

所在地が仙台市から宮城県塩竈市に変更されたほかは,本件命令以前にお

ける原告らの勤務場所は長きにわたり変動がなく,少なくとも,いずれの

原告らの勤務先所在地も,採用に係る地方局管内にとどまっているとみら

れる。

しかしながら,このような勤務場所の固定化という現象それ自体は,勤

務場所の限定合意の有無を探究する一つの要素となり得ることは否定でき

ないけれども,長期雇用を基礎とする我が国において,従業員のキャリア

形成や,深刻な雇用調整を回避する措置として,柔軟な配置転換が広く行

われてきたという雇用慣行の存在に照らすと,このような勤務場所の固定

化という事実は,単に勤務場所に変動がなかったという事実の集積にとど

まるとみる余地は十分に存するから,それが労働契約の内容に影響を与え

る労使慣行として確立したと評価するには,これと併せて,関係者の認識

等に照らして,これが法的な行為準則として確立しているかどうかを検討

する必要がある。そこで,更に判断を進めると,前記ア,イの検討結果の

ほか,@そもそも,公社規則51条や被告就業規則60条のような配置換

えに関する定めは,前述したような我が国の雇用慣行を基礎として,我が

国の経済の進展及び産業構造の変化等に即して,社員の配置を柔軟かつ効

率的に行うことを想定したものと解されること,A被告の社員の圧倒的多

数で組織されているNTT労組及びその前身である全国電気通信労働組合

(同労組が被告の社員の圧倒的多数で組織された労働組合であることは,

前提となる事実(4),アのとおりである。)がそれぞれ電電公社,被告と締結

した社員の配置転換に関する協定(甲14,16)でも,勤務場所の指定

につき何らかの制約を加えている形跡はみられないこと(なお,後述する

ように,同協定第2条2項は,関連ある職掌以外の職掌への配置転換につ

き,当該労働者の同意を得ることを求めている。),すなわち,被告の社員

の多くは,その勤務場所が採用に係る地方局の管内に労働契約上限定され

るとの認識は有していないとみられること,以上の諸点を勘案すると,電

電公社・旧NTT及び被告において,原告ら主張のような労使慣行が確立

していたとは認めるに足りない。

オ 以上によれば,勤務場所を限定する合意があるとの原告らの主張は採用

することができない。

(3)職務に関する特殊な合意の有無

公社規則及び被告就業規則において,職員ないし社員の職務の指定につき

定めた公社規則51条,被告就業規則60条が「業務上の必要」というほか

に何らの限定をも加えていないことは前提となる事実(8)のとおりである。ま

た,いずれの原告も,電電公社への採用に当たり上記のような内容の公社規

則を遵守する旨の誓約書を被告に交付していることも前記(2),アで指摘した

とおりである。

この点につき,原告らは,別表1−1ないし1−8の担当職務欄記載のと

おり,原告らの担当職務が,例えば,原告大内の場合には,専用回線の故障

受付等の業務というように,一定のものに限定,固定化されていたとして,

かかる事実から電電公社り旧NTT及び被告と原告らとの間の労働契約で,

担当職務の定めるに当たっては,原告らと協議し,合意を得た上で決定する

旨の合意が成立していたと主張する。

しかし,@前記(2),エで判示したように,公社規則51条及び被告就業規

則60条は,我が国の雇用慣行を基礎として,経済の進展及び産業構造の変

化等に即して,社員の配置を柔軟かつ効率的に行うことを想定するものと解

されるのであって,この趣旨は職務の指定につき,より適合するものといえ

ることや,A同じく,前記(2),エで触れた,全国電気通信労働組合及びNT

T労組がそれぞれ電電公社,被告と締結した社員の配管転換に関する協定(

14,16)では,関連ある職掌以外の職掌への配管転換につき,当該労働

者の同意を得ることが求められているものの(第2条2項),それ以外の職掌

への配置転換については当該労働者の同意を要するとする旨の定めは存在し

ないことを勘案するならば,電電公社・旧NTT及び被告と原告らとの間で,

原告らの担当職務についてのみ,その指定に当たっては,同人らと協議し,

合意を得た上でこれを決定するなどという合意が成立していたとみることは

できない。

そして,他に上記合意を認めるに足りる証拠はない。

(4)小括

以上によれば,原告らと電電公社,旧NTT及び被告との勤務関係におい

て,原告らが主張するような勤務場所及び職務を限定する旨の合意が成立し

ていたとは認めるに足りない。

3 争点(2)及び同(3)に対する判断に当たっての前提的な事項の整理

(1)前記(1)によれば,原告らは被告就業規則60条により,業務上の必要があ

る場合には,被告の配置転換命令に応ずべき義務を負うこととなるが,原告

らは構造改革,取り分け,0Sイヒ施策とこれに基づく甲選択と構造改革リフ

ァインとこれに伴う乙選択の実施が「違法なリストラ」であるとの理解に立

って,本件命令の効力を争う。

そして,争点(2)(3)で問題となる本件命令の効力につき判断を進めるに当

たっては,本件命令とOSイヒ施策及び甲・乙選択を含めた本件改革との関係

につき一括して整理,検討しておくことが有益,かつ,便宜と解されるので,

まず,この点につき判断することとする。

(2)本件改革と本件命令の効力との関連性等

ァ 前提となる事実(5)6),前記1(2)ないし(6)で認定した本件改革に至る

事情,経緯及びその実施状況及び証拠(乙7 0,1 0 7, 証人鳥越隆,同

土井健治)を総合すると,構造改革並びに構造改革リファインという一連

の施策(本件改革)は,大要,@通話料の低廉化状況にも対応できる競争

力を確保するために,固定電話関連業務のコストを極力削減する趣旨から

構築された被告の社員の労働条件変更施策,すなわち,社員が被告を退職

し,被告在職時と比べ低い賃金水準となり,かつ,使用者を異にするOS

子会社と新たな労働契約を締結するというOSイヒ施策と,A被告の事業構

造を,向後従前のような収益性は期待することができない固定電話事業に

限定することなく,損失が生じない程度に固定電話事業を維持しつつ,I

P・ブロードバンドビジネスを積極的に展開して収益性を確保するという

事業構造転換施策(もとより,ここには,そのための所要の組織改編と人

的配置を実施することが含まれる。)から成るものと評価することができ

る。

イ ところで,原告らは,本件改革のうち,上記@の労働条件の変更施策の

問題性を強調するところ,前記1,(2)ないし汲ナ認定した事実及び証拠(甲

9,乙20,21,証人鳥越隆,同土井健治)を総合すると,労働条件の

変更施策であるOSイヒ施策は,@被告との労働契約を合意解約し,0S子

会社と新たに労働契約を締結するという転籍類似の方策を採用するもので

あること,また,A長期雇用及び年功序列的賃金を背景として,人件費負

担が重くなる中高年齢層の社員を対象とした人件費の削減を主眼としつ

つ,これらの社員の生活実態,すなわち,居宅を所有することが多くなる

年代であるため,勤務事業所限定を希望する傾向が強まり,また,子女の

進学などによりまとまった資金が必要となることが多いこと,加えて,各

種年金の支給時期までの雇用継続のニーズを勘案して,0Sイヒ施策では,

上記人件費の削減の趣旨と上記のような社員の二ーズとを調整した各種の

条件が設定されていること,Bそれゆえ,甲・乙選択は,法的にいえば,

被告在籍時の賃金と比べるとその水準が15ないし30パーセント低下す

るものの,上記Aのような各種条件,すなわち,勤務場所の限定及び国民

年金及び厚生年金の支給年齢に達するまでのOS子会社での勤務関係の継

続が保障された新たな就職先の保障と,割増加算された退職金の支給とい

う金銭給付の提示を組み合わせた退織勧奨とみることができるものと認め

られる。

原告らは,甲・乙選択が必須選択対象社員に対し,退職・再雇用型か満

了型のいずれか必ず選択することを求め,いずれの型をも選択しない場合

に満了型を選択したものとみなすとした点をとらえて,このような意思の

擬制は許されないと論難するが,上記のとおり,甲・乙選択は退職・再雇

用型を選択して退職するか否かの意思の表明を求めるものであるから,退

職・再雇用型を選択しない場合には,被告が勧奨する合意退職を受け容れ

ないものとして,従前どおりの被告との労働契約関係が継続するとする(す

なわち,満了型として扱う。)のは当然のことといえ,その意味では,満了

型の選択というのも,特段の意味があるわけではなく,退職勧奨に応じな

いとの拒否の表明にすぎず,原告らの上記主張は法的には無意味なものと

いうほかない。

また,原告らは,このような枠組みのOSイヒ施策につき,管理職とそれ

以外の社員とで取扱いの差異があったことをも問題視するようであるが,

そのような取扱いの差異があったとしても,どの範囲の社員に退職を勧奨

するかは,被告の広範な裁量に委ねられるから,管理職が甲・乙選択の対

象とされなかったからといって,原告らの主張するように不当なものとい

うことはできない。

ウ ところで,使用者による従業員の労働条件の変更措置には様々なものが

あり得るところ,上記のようなOSイヒ施策による使用者及び賃金体系の変

更を主要な変更点とする労働条件の変更は,上記イによれば,いわゆる就

業規則の不利益変更のような使用者による一方的な労働条件の変更とは異

なり,労働者の合意を媒介とする個別的な労働条件の変更であるから,か

かる労働条件の変更の違法性ないし効力の問題は,画一的・統一的に労働

者の労働条件を変更する効果をもたらす就業規則の変更などと異なり,個

々の労働者ごとに相対的に決せられるべきものであって,画一的・全体的

にその違法性ないし効力というものを論定するのは相当でないというべき

である。

エ してみれば,退職・再雇用に応じた社員が,被告との労働契約の合意解

約の効力を個別に争うのであればともかく,原告らは,退職・再雇用に応

じず,しかも,その後も労働条件の変更もないまま,被告との労働契約関

係が存続しているのであるから(なお,前記2で判示したとおり,原告ら

と被告間の労働契約において,勤務場所・職務を限定する合意があるとは

認められない以上,本件命令による勤務場所・職務の変更は,同契約上被

告が保持する人事権の発動にほかならず,何ら労働条件の変更には当たら

ない。),原告らが本件改革による労働条件の変更の違法性を強調したとし

ても,本件命令との関係では法的には無意味であって,その法的評価いか

んにより本件命令の効力が左右されるものではない。

そして,上記の検討によれば,本件改革による諸施策のうち,本件命令

との関連性を有するのは,前記ア,Aの事業構造転換策の当否であると解

されるところ,これは,本件命令の効力との関係でいえば,いわゆる業務

上の必要性についての評価要素に当たるものとみるのが相当である。

3)小括

以上のように,本件命令の効力を考察するに当たり,本件改革による労働

条件の変更施策(OSイヒ施策)の法的評価を一般的・抽象的に決すべき必要

性はない。そこで,上記の見地から,争点(2),(3)につきそれぞれ検討を進め

ることとする。

もっとも,上記のような労働条件の変更施策の経緯や相当性,さらには,

これに対する原告ら以外の被告の社員の対応などといった事情は,後記5で

判断する本件命令の権利濫用該当性の中で適宜,考慮して判断するのが相当

と解されるが,これは,0Sイヒ施策それ自体の効力を問題とするものではな

く,原告らが本件命令により被る不利益の内容・程度の評価に当たっては,

原告ら以外の被告の社員の関係や本件命令に至る経緯をも踏まえて評価する

のが適切であるとの観点から必要となる評価というべきであって,それゆえ,

そこでの評価も,いわゆる就業規則の不利益変更における合理性の審査のよ

うな厳密な審査が要求されるものではない。

4 争点(2)・本件命令が国際法規等,又は,憲法,労基法等の国内法規に違反し,

無効か否か

(1)ILO第156号条約及びILO第156号勧告との関係

本件命令により,原告ら(ただし,原告古宮,同鏡及び同横澤を除く。)が

宮城県地域に居住する家族と離れて,いわゆる単身赴任をし,被告が首都圏

地域に設置した単身寮に入居して勤務していることは当事者間に争いがな

い。そして,上記原告らは,このような単身赴任を強いる本件命令がILO

第1 5 6号条約第3条1項,ILO第156号勧告第20項に違反すると主

張する。しかし,ILO第156号条約第3条1項は「男女労働者の機会及

び待遇の実効的な均等を実現するため」,「家族的責任を有するものであって

職業に従事するもの……が,差別を受けることなく,また,できる限り職業

上の責任と家族的責任との間に抵触が生ずることなく職業に従事する権利を

行使することができるようにすることを国の政策の目的とする」と定めると

ころ,かかる文言からも明らかなように,同条項は締約国に対し同条項所定

の政策策定と実施を義務付けるにとどまり,締約国内で行われた私法上の法

律行為等の効力までをも規律する規定であるとは解し難い。また,ILO第

156号勧告も国際労働機関で採択された勧告にすぎず,国際慣習法,条約

などといった国際法上の法規範ではないのであるから,同勧告の第20に抵

触するか否かにより本件命令の効力が左右されるものではない。

よって,原告らの主張は採用することができない。

なお,原告らの上記主張は後記5の権利濫用該当性を判断する一要素とし

て勘案するのが相当である。

2)育児・介護休業法26条との関係について

育児・介護休業法26条は,事業主に対し,配置転換に当たり子の養育や

家族の介護を行っている労働者につき,その子の養育又は家族の介護の状況

を配慮すべきことを義務付けたものであり,それを超えて配置転換命令の効

力を律するものとは解されないから,原告らが指摘する事情が後記5の権利

濫用該当性を判断する一要素として勘案され得ることはともかく,同条を理

由として本件命令の効力は何ら左右されない。

よって,原告らの主張は採用することができない。

3)憲法14条1項,労基法3条及び民法90条との関係

ア 原告らは,本仲介今は満年齢が51歳以上の社員に対してのみ命じられ

たものであるとの前提に立って,同命令が憲法14条1項,労基法3条及

び民法90条に違反すると主張するが,前記1,(8)で認定した本件命令に

至る経緯に照らせば,0Sイヒ施策及びこれに伴う年齢に応じた雇用形態の

選択と,配転命令である本件命令とは,一応別個の問題であって,本件命

令は原告らの年齢自体を理由とするものではないから,原告らの主張は失

当である。

また,原告らは,被告が,移行対象業務に従事する社員でも,満年齢5

0歳以下であれば,同社員をOS子会社に出向させて従来どおりの業務を,

従来どおりの労働条件で従事させていることとの対比から,満年齢51歳

以上の満了型等社員につき,0S子会社へ出向させないとする人事方針(以

下「本件人事方針」という。)が不合理な差別に当たると主張する。

確かに,前提となる事実求Cオ,(ヴの〔60歳満了型〕@,Aの事実並

びに証拠(乙70,1 0 7, 証人鳥越隆,同土井健治)及び弁論の全趣旨

によれば,本件改革に伴う社員の配置につき,被告は満了型等社員はOS

子会社へ出向させないという方針(本件人事方針)で臨んでおり,特段の

例外事情が認められない限り,同方針に依拠して人事配置を策定している

ことが認められる。 しかし,被告が自社の社員を,その関連企業を含む他

の企業に出向させるか否かは,使用者である被告の広範な人事裁量に委ね

られるべき事柄である(本来,被告の社員である以上,被告において勤務

することが本則であることはいうまでもない。)ことに加え,証拠(乙70,

107, 証人鳥越隆,同土井健治)によれば,本件人事方針は,本件改革

(特に,0S化施策)を実施する上で,満了型等社員をOS子会社へ出向

させて,移行対象業務となった業務に従事させることは,勤務場所が限定

され,また,担当職務の連続性・安定性を確保し得ることを退職・再雇用

型を選択するメリットとするOSイヒ施策の枠組みを崩すばかりでなく,実

際に退職・再雇用を選択してOS子会社へ転籍し,賃金減額の不利益性を

甘受した社員との関係で,退職・再雇用を選択しなかった社員が,被告と

の労働契約関係及びそこでの賃金水準を維持したまま,0S子会社に出向

して,従前と同様の職場環境を保持するのを許容することは,不公平感を

醸成し,不平・不満が生じ得ることが考慮された人事措置であることが認

められる。してみれば,本件人事方針は,被告が実施したOSイヒ施策につ

き社員の協力を求める上で仏 また,本件命令当時,既に甲・乙選択が実

施され,多数の社員がOS子会社へ転籍し,また,転籍しようとしている

状況にあったことをも踏まえるならば,必要かつ相当な措置というべきで

あり,これが不合理な差別であるということはできない。

イ さらに,原告らは,本件改革によるOSイヒ施策は,実質的にみると,就

業規則の不利益変更,50歳定年制,企業分割に等しいなどとして,就業

規則の不利益変更に関する判例ルール,高年齢者等の雇用の安定等に関す

る法律,労働契約承継法などを違法に潜脱するものであり,したがって,

これを基礎としてされた本件命令も違法・無効であると主張する。しかし,

前記3,(2)の判示からも明らかなように,0Sイヒ施策の枠組みは社員との

合意の成立を前提とした転籍であるから,社員との合意を前提としない就

業規則の不利益変更,定年制の若年齢化,会社分割とみることができるも

のではないから,原告らの主張は採用の限りではない。なお,そもそも,

労働契約承継法が会社分割に際しての労働条件の変更を一切禁ずるものと

は解し難い(平成12年労働省告示第127号の「分割会社及び承継会社

等が講ずべき当該会社が締結している労働契約及び労働協約の承継に関す

る措置の適切な実施を図るための指針」の第2,1,(4),(ロ)には「会社分

割を理由とする労働条件の不利益変更等」として,「労働契約の内容である

労働条件の変更については,労働組合法……における労使間の合意や民法

の基本原則に基づく契約の両当事者間の合意を必要とすることとされてい

るから,会社分割の際には,会社は会社分割を理由とする一方的な労働条

件の不利益変更を行ってはならず,また,会社分割の前後において労働条

件の変更を行う場合には,法令及び判例に従い,労使間の合意が基本とな

るものであること」とするにすぎない。)。

加えて,労働協約との関係につき,原告らは,転籍の場合の在籍期間等

の通算の点等を指摘するが,既述したところからも明らかなように,この

点が,転籍を拒絶した原告らにとって,その労働条件に影響を及ぼすもの

ではないから,この点を評価・判断する必要はない。

4)小括

以上の次第で,本件命令の国際法規等違反ないし憲法,労基法等の国内法

規違反をいう原告らの主張はいずれも採用することができない。

5 争点(3)・本件命令が被告の人事権を濫用してされたものとして無効か否か

(1)はじめに

配置転換命令が権利濫用に当たるか否かを判断するにおいては,当該命令

の対象となった労働者ごとに,配置転換に至る経緯・事情や,これにより生

じる職業生活上・社会生活上等の不利益が異なり得るため,本来的には,配

置転換の対象となった労働者ごとの個別事情に即した検討を要することはい

うまでもない。しかし,争点(3)に関する原告らの主張を通覧するならば,そ

の主張は原告らの配属先がどこであるか(端的には,販売PTか情報PTか

である。),また,本件命令により家族との別居を余儀なくされているか否か

により一定の共通性がみられる。

そこで,本件命令により販売PTに異動となった原告緒方らと,情報PT

に異動となった原告大内らとの分類を軸として,前者について後記(2)で,後

者について後記(3)でそれぞれ共通に問題となる点を判断し,その上で,後記

(4)で,原告らが個別的に主張する異動の障害事由を踏まえた最終的な評価を

示すこととする。

(2)原告緒方らに対する本件命令について

ア 原告緒方らに対する本件命令の権利濫用の判断は,主として,@業務上

の必要性の有無及び程度,A報復,威嚇などといった不当な目的,動機の

有無,B原告緒方らが被る不利益の内容及びその程度といった各要素を評

価してすべきところ,これらの各要素の評価は相互に密接な関連性を有す

るところがあると解される。そこで,以下では,一応,上記要素に即しつ

つも,適宜,相互の関連性を踏まえながら,評価・判断を示すこととする。

なお,上記の判断を進めるに当たっては,便宜上,原告緒方,同鏡及び同

横澤につき判断した上で(後記イないしオ),最後に,原告古舘につき判断

する(後記カ)

ィ まず,原告緒方,同鏡及び同横澤に対する本件命令に関する業務上の必

要性の有無及び程度についての評価は,次のとおりである。

()原告緒方,同鏡及び同横澤は構造改革リファィンに伴い,0S子会社ヘ

の出向が解除され,被告に復帰することになったが(前記1、(6),ウ)

原告鏡,同横澤については,復帰後の被告に同人らが従前従事していた

業務は存在しなかったことは,前記1バ5),エ,()のとおりである。ま

た,原告緒方については,構造改革による業務集約等により,同人が従

前従事していたユーザー回線トラヒック調査は,若干の社員が配置され

る程度のものが山形支店に存在するのみであったこと(前記1、(5),エ,

 

(エ)甲122,乙352,証人大田原敏夫・11〜12頁),また,平成

15年4月の時点では,前年に引き続いて,既に他の社員がユーザー回

線トラヒック調査担当者に充てられていたか,又は,同調査を独白に担

当する社員は存在しなかった可能性があること(甲122,乙352,

証人大田原敏夫・26頁,原告緒方哲夫・9頁)を勘案すると,本件命

令当時,原告緒方が被告に復帰しても当然にユーザー回線トラヒック調

査業務に従事し得る状況にはなかったというべきであり,それゆえ,原

告緒方についても,原告鏡,同横澤と同様に再配置の必要が生じていた

とみるのが相当である。

また,本件命令と同時に,人員規模を150名程度とする販売PTの

発足・始動が予定されていたというのであるから(前記1(7),イ、())

同部門に人員を充てる必要があったことは否定し難い。

()a上記につき,原告鏡及び同横澤は,同人らが従前従事していた業務

はNTT−ME東京,同神奈川に存在し,実際,本件命令の直前まで

同社に出向して同業務に従事していたのであるから,NTT−ME東

京ないし同神奈川への出向を解かずに,そのまま出向を継続して原告 

鏡,同横澤に上記業務に従事させることは可能であるばかりか,その

方が被告の合理的運営に寄与することは明らかであると主張するが,

前記4(3),アで判示したとおり相当な措置と認められる本件人事方

針に従えば,被告が平成15年4月以降も原告鏡,同横澤をOS子会

社であるNTT−ME東京,同神奈川へ出向させることはできなかっ

たのであるから,上記原告鏡及び同横澤の主張は採用することができ

ない。なお,原告緒方も,本件命令当時,山形支店には同人が従前,

従事していたユーザー回線トラヒック調査業務が存在すると主張する

が,証拠(原告緒方哲夫・20頁)に照らし,採用することができな

い。

b また,原告緒方,同鏡及び同横澤は,そもそも,被告が販売PTを

設置する必要はなかったと主張するが,前記1,(2)ないし(4),(7),ア

の認定事実並びに証拠(乙70,273,243,証人鳥越隆,同城

山厚生)及び弁論の全趣旨により認められる,@平成13年当時には

顕在化していた,我が国における情報通信事業の構造的な変化及びこ

れに伴う財務状況の悪化に対応して,被告は固定電話事業のほかに,

IP・ブロードバンドビジネスを収益事業の柱とする事業構造転換施

策を推進しようとしていたこと,A被告が積極的な展開を企図してい

たIP・ブロードバンドビジネスにおいては,ビジネスチャンスが最

も豊富に存在するエリアが東京を中心とした首都圏地域であったこ

と,B被告の競業会社であるソフトバンク系のヤフーBBテクノロジ

ーは,平成14年ころ,首都圏等の駅,店頭などでADSL方式によ

るインターネット接続のための装置を無償で頒布し,これを通じて積

極的な販売促進活動を展開した結果,ADSLの契約件数を相当数獲

得していたこと,以上の事実を勘案すると,ブロードバンドのユーザ

ーであるSOHO・マス層に直接的に働きかける形での営業活動を展

関していくことは相当な営業戦略であると認められるから,被告が販

売PTを設置すべき必要性がなかったということはできない。なお,

原告緒方らは訪問販売型の営業戦略自体を問題視するようであるが,

個別訪問による営業は,物品等販売の営業活動でも広く採用されてい

る販売手法であり,社会通念に照らしても,これが不合理な営業手法

であるとはいえない。

さらに,原告緒方らは,上記に関連して,@販売PTによる営業活

動は,被告ないし関連会社による営業活動と重複しており,取り分け,

東京地区のOS子会社であるNTTサービス東京の営業部門による営

業活動と重複が生じていること,また,A販売PTの販売実績は極め

て低く,採算性が低い部門であることといった事情を指摘して,事業

経営上,販売PTを設置すべき必要性がなかったと主張する。しかし,

上記@,Aの事情があったとしても,新設部門が現実に始動した後に,

既存の関連組織との関係や,その業績・効率性が問題となることは十

分あり得るところであるから,これらは販売PTが始動した後の問題

ないし課題というべきものであって,このような事後的な事情から,

直ちに,本件命令当時の事情である販売PTの設置の必要性の有無を

論じることはできない。また,この点を措くとしても,販売PTとN

TTサービス東京との営業領域の重複(上記@)については,確かに,

両部門が展開する営業対象が戸建住宅や30世帯未満の規模のマンシ

ョンである点では共通しているものの,販売PT特販担当が展開する

営業活動は戸建住宅が中心とされるなど,一応の区別は設けられてい

たこと(甲60の1,同の2,乙323・11頁,証人城山厚生・1

3頁),また,販売PTとNTTサービス東京とが展開する営業活動が

重複するケースは少なくはなかったものの(甲g4・7頁,甲i3・

6頁,原告古舘義男・8頁),そもそも,営業対象とするSOHO・マ

ス層が極めて広範な客層であることが考慮された結果,NTTサービ

ス東京と補完・連携しつつ,SOHO・マス層への営業活動を展開す

る部門として販売PTが設置されるに至ったこと(前記1,(7),イ,

(ウ)及び弁論の全趣旨),その後の両部門における営業活動の展開過程に

おいては適宜の調整がされ,販売PTはNTTサービス東京と重複し

ないような形で営業活動を展開していたこと(甲60の1,同の2,

乙323),そして,何よりも,販売PTは平成15年4月の発足後,

現実に業務を開始し,原告緒方らもエリア営業に従事していること(乙

243,319,320,323及び後記ウ)を勘案すると,販売P

TとNTTサービス東京との営業領域の重複問題をもって,本件命令

当時,販売PTを設置する必要がなかったと断じることは困難である。

また,販売PTの採算性の問題(上記A)は,正に,販売PT始動

後の,所属社員の働きによるところが大きいというほかないし,さら

に,販売PTの設置目的には訪問販売による光・IPサービスの契約

獲得のほか,競業他社の動向に関する情報収集も含まれていること(前

記1,(7)イ,(ウ)),上記のとおり,販売PTが現実に稼働しているこ

とをも勘案するならば,上記採算性の問題を理由として,本件命令当

時,販売PTを設置する必要はなかったと断じることも困難というべ

きである。

よって,販売PTの始動後の事情である上記@,Aが本件命令の業

務上の必要性を左右するものとはいえない。

(ウ)次に,いわゆる人選の合理性について検討する。

a 原告鏡及び同横澤が,本件命令以前において,営業業務の経験を有

しないことは別表1−7,同1−8より明らかである。また,原告緒

方は,平成14年3月から本件命令により販売PTに異動するまでの

間,フレッツ,アクセスサービス,マイライン・プラス,Lモードな

どの個人向けの各種サービスにつき,電話勧誘(テレフオンマーケテ

ィング)による販売業務に従事した経験を有していたものの(別表1

−5,乙274・21頁),その電話勧誘の対象は被告において予めリ

ストアップされものであり,原告緒方はこのリストに依拠して電話勧

誘を実施していたにすぎないこと(原告緒方哲夫・10頁)を勘案す

ると,原告緒方の上記営業経験は,営業に係るキャリアとしてはさほ

ど重視できるものではないと評するのが相当である。 してみると,原

告緒方,同鏡及び同横澤の従前の職務経歴(別表1−5,同1−8,

同129)と販売PTでの業務を単純比較すると,少なくとも,両者

の連続性ないし関連性は極めて希薄であるといわざるを得ず,職務適

合性の観点からすると問題がないではない。

しかし,職務適合性も,配置転換という人事権の発動要件である「業

務上必要があるとき」(被告就業規則第60条・前提となる事実(8),

イ)の判断の一要素となり得るものではあるけれども,そもそも,被

告就業規則第60条が被告の経営環境に照らして柔軟な人事配置を可

能ならしめる趣旨で定められたものであること(前記2バ2,エ)や,

実際問題として,配置転換の要因となる事情は様々で,これを実施す

る個々の具体的状況に応じて,その考慮要素やその重点の置き方も異

なり得ること,さらには,人事配置における労働者と業務との適合性

は当該労働者のキャリア経歴のみからは直ちに判別がし難く,実際に

は,当該労働者をその職に就けた後でなければ真の適合性は判定し難

い面があること(乙320・10〜15頁,321,322によれば,

販売PT特販担当に異動となった満了型等社員の中には,原告古舘と

類似のキャリアを有するものの,好業績を挙げて表彰を受けた社員が

存在したことが認められる。)をも勘案すると,人選の合理性の評価・

判断においても,キャリア経歴と異動先の業務との連続性,親和性な

どを過大に重視して人選の合理性を評価・判断するのは,相当でない。

b そして,本件では,本件命令当時,原告緒方,同鏡及び同横澤に再

配置の必要が生じていたものの,他方で,同人らが所属する山形支店,

東京支店,神奈川支店には,企画・戦略,設備構築,サービス開発,

法人営業などといった高度な能力・技能を要する業務のみが存在し

(前提となる事実求Cオ,(ウ)の〔60歳満了型〕@,乙274,30

1,3 1 4, 証人屋司・21〜23頁,弁論の企趣旨),これを原告緒

方,同鏡及び同横澤のキャリアに照らしてみた場合,職務適合性が大

きく欠如する可能性が高かったことが推定される。また,販売PTに

おける訪問販売を中心とするエリア営業は,従来の被告の業務運営体

制からすると異色な業務ではあるものの(証人城山厚生,弁論の全趣

旨),同業務自体は,必ずしも情報通信につき専門的な知識を有するわ

けではない一般ユーザーを丁寧・丹念に訪問し,その過程で得られた

商機を捉えて,ねばり強いセールスを展開することが求められるもの

であって,その意味では,同業務は,対人的な対応能力や,職務に対

する誠実さ,根気良さなどといった資質を有する者であれば,努力や

商機を捉える創意工夫を加えることにより,相応の業績・成果を達成

することも期待できるものであり,前記1,(8),ィで認定した原告緒

方,同鏡,同横澤が販売PTの異動候補者として選出される過程で,

「真面目で研究熱心」,「応答が丁寧」,「流暢に話すことができる」な

どといった要素が考慮されていること(なお,上記原告3名について

は,コンピュータ知識の点も重視されている。)は,その趣旨によるも

のと解される。

c してみると,上記原告らにつき再配置に必要が生じていたという事

情がある本件において,人選の合理性を評価・判断するに当たっても,

厳格な連続性,関連性を前提とする高度の職務適合性を求めるのは相

当でないし,また、そうであれば,前記1,(8),イ、(イ)で認定した原

告緒方,同鏡及び同横澤を販売PTに異動対象と選定した過程は合理

性を認めるに足りるものといえるから,本件命令が人選の合理性を欠

くものであると評することはできない。

d なお,原告緒方らは,甲選択に先立って構造改革の立案担当部門で

ある企画部は甲選択を実施した結果,組織的選択者(労働組合の意向

を受けて統一的な対応をとる者の意と解される。)が少なからず生じる

余地があり,その場合には被告の業務との関係で「スキルアンマッチ」

(職務不適合の意と解される。)が生じると認識していたなどとして,

被告も原告緒方らに販売PTの業務に従事させることが技能・能力面

からみて適合しないことを認識しており,このことは証拠(甲29)

からも裏付けられていると主張する。 しかし,構造改革施策の実施,

殊にOS子会社への業務の移行により,被告に残った業務と社員との

間で,その能力,技能が必ずしも適合しないものとなることは当然予

測されることであり,上記の被告の認識も,このような意味での不適

合を予測したものと解されるのであって,また,そのような状況下で

の配置転換は,十分な職務適合性をもとに行うことは不可能であるか

ら,この点が人選の合理性を直ちに左右するものとはいえない。加え

て,そもそも,甲29が作成されたのは,甲選択が実施された後の平

成14年2ないし3月ころとみられるのに対し,販売PTの設置が決

定されたのは平成14年12月ないし同15年2月ころにかけてのこ

とであることや,前記bの判示によれば,原告緒方らが従事すること

となった販売PTの業務の内容は特に高度な専門的知識が不可欠とな

るものでもないといえることをも勘案すると,職務不適合を表す趣旨

の記載とみられる甲29の「スキルアンマッチ」という表現において,

販売PTで実施される業務が想定されていたとは認め難い。 したがっ

て,上記記述をもって,本件命令当時,原告緒方らが販売PTでの業

務に対する職務適合性を欠くと被告が認識していたと認めることはで 

きない。

ウ 続いて,不当な目的,動機の有無につき判断する。

(ア)まず,原告緒方,同位及び同横澤は,本件命令が退職・再雇用型を選択

しなかった同人らに対する報復の目的でされたと主張する。 しかし,前

記ィのとおり,本件命令の業務上の必要性は否定できないことに加え,

前記1、(8),ィ,(ィ)で認定した事実及び証拠(乙274,301,31

4)並びに弁論の全趣旨によれば,山形支店では計2名,東京支店では

計22名及び神奈川支店では4名の満了型等社員が検討対象とされたも

のの,そのすべてが販売PT(ないしは情報PT)に異動となったもの

ではないことが認められる。してみれば,満了型等社員であるが故に販

売PTに異動するという関係は認め難く,また,他に原告緒方,同鏡及

び同横澤の主張を裏付けるに足りる的確な証拠も見当たらない(もとよ

り,原告らの主張も,満了型等社員のうちの原告緒方,同鏡及び同横澤

だけが標的となった旨主張するものではない。)以上,本件命令が報復の

目的でされたとは認めるに足りない。

原告緒方,同鏡及び同横澤は,本件では,本件人事方針が基礎とな

って本件命令に結びついているところ,同方針は,正に,被告が退職

・再雇用型を選択しなかった社員を嫌悪し,これに報復する目的を有

していたことの証左であると主張する。しかし,前記4,(3),アで判

示したとおり,本件人事方針は,甲・乙施策を効果的に進め,かつ,

満了型等社員と退職・再雇用型を選択してOS子会社へ転籍した社員

との人事上の公平を確保する趣旨でとられたものであるから,被告が

同方針で臨んでいたことをもって,直ちに満了型等社員を嫌悪し,こ

れに報復する目的を有していたといえるものではない。

また,原告緒方,同鏡及び同横澤は,販売PTは,余剰化した満了

型等社員を隔離する目的で設置されたとして,このことは,上記原告

らの販売PTへの異動が不当な目的でされたことの重要な徴表事実で

あると主張する。確かに,前記イの判示を前提とすると,販売PTの

設置が満了型等社員の就業場所を確保することのみを企図してされた

とは到底認められないけれども,そのような趣旨が,販売PT設置に

込められていた可能性は否定できない。すなわち,@販売PTの設置

が公表された,平成14年12月25日の東日本経営協議会の整理事

項(乙270)では,販売PTの人員につき「東日本エリア支店等か

ら営業スキルを有する社員を中心に人員を創出していく」と整理され

ているところ,ここにいう「営業スキル」というのは,通常の読解に

よれば,これは営業の経験を念頭に置いた表現とみられること,しか

しながら,A販売PTから本社企両部を通じて各部門等に提示された

販売PT基準はその射程範囲が広いばかりか,法人営業あるいは営業

の経験の有無は人選要素となっていなかったこと(前記1,(8),ィ,

(ア),B東京支店では,前記1,(8),ィ,(ィ),cの情報PTへの異動を

も併せた人事異動候補者の選定において,満了型等選択社員であって

も,法人営業などの経験のある社員は「お客様の囲い込みの緊急度の

高い部門から順次配置し,専らそれ以外の業務経験を有する社員につ

いては,その内容に応じて各配置先を決定していった結果,原告鏡

が販売PTへの異動候補者と選出されたが(乙314・23頁),同P

Tは「お客様の囲い込みの緊急度の高い部門」とは位置付けられてい

なかった可能性があること,C原告横澤は販売PT基準に合致しなか

ったが,神奈川支店が本社と協議した結果,販売PTの異動候補者と

選定されたこと(前記1,(8),ィ,(ィ),d),そして,D平成15年4

月に発足した販売PTは,その人員の半数近くが満了型等社員であり,

取り分け,一般家庭等を対象とする訪問販売に従事する第2ないし第

6グループにその傾向が顕著であったこと(甲8 3, 84),E平成1

5年4月,原告鏡がその上長である販売PT第4グループの小沢担当

課長に既に申請していた年次有給休暇の処理の仕方につき質問をした

ところ,同課長が不穏当な発言をしたため,その後上記発言について

小沢課長と原告鏡との話合いの揚が設けられたが,この揚のやりとり

の中で,小沢課長が原告諭に「何でここに転勤させられたんだと思っ

ているんだ」と述べたこと(甲c 3,92〜9 4, 原告鏡茂俊)をも

勘案するならば,少なくとも,販売PTの役員が,満了型等社員の処

遇をも念頭に置いたものであったことは推察するに難くないところで

はある。しかし,既述のとおり,本件改革,特に,数次にわたるOS

化施策が実施された結果,被告における固定電話関連の業務は著しく

減少し,かつ,これらの業務にその多くが携わっていたと推定される

満了型等社員にとって,その職務適合性の低い業務ばかりが被告に残

存するに至っていたことを勘案すると,被告としては,これらの社員

の雇用を確保するために,本件改革で志向するブロードバンド事業の

分野において,かかる社員も従事し得る業務を創出していくことで,

雇用調整策に至る危機を回避することも相当な措置であるから,仮に,

販売PTの設置に上記のような趣旨が含まれていたとしても,このこ

とから直ちに,被告が満了型等社員に対する嫌悪意思や,報復意思を

有していたとみることができるわけではない。

cさらに,原告緒方,同鏡及び同横澤は,@販売PTへの異動後,同

PT在籍社員(ただし,管理職等一部の社員を除く。)には中古の執務

用品ばかりが供されている,A被告は,社員の業務・成果を勘案した

人事評価を行い,この評価結果を社員の賃金に反映させる仕組みを採

用しているところ,販売PTに配属となった社員の人事評価は低く,

賃金が減額化している,B販売PTはその所属社員に過大な営業目標

を課しているなどとして,上記原告らを含めた販売PTへ異動となっ

た満了型等社員が不当な処遇を受けているとも主張する。

しかし,これらの主張は,いずれも,上記原告らを含めた満了型等

社員が不当な処遇状況にあることをもって,もともと,退職に誘導す

る目的,動機を被告が有していたことを裏付けようとするものと解さ

れるところ,上記@については,確かに,原告緒方,同鏡及び同横澤

が販売PTに着任した際,執務用の机・椅子,電話及びコンピュータ

などにつき中古品が供されたことは当事者間に争いがないところ,通

常の従業員の執務環境を想定した場合に,新設された部門であっても

常に新しい執務用品のみが供されるものでないことはいうまでもない

ことに加え,本件証拠を通覧しても,これらの用品・備品が使用に支

障を来すようなものであったといった事情も見当たらないことをも勘

案すると,これを不当な取扱いであったとみることはできない。

また,上記Aについても,証拠(乙243,3 1 9,323)によ

れば,平成15年度及び同16年度の原告緒方の業績は,訪問件数は

5700イ牛(平成15年度)と6900イ牛(平成16年度),受注件数

は各14イ牛(平成15年度及び同16年度),アンケート回答件数は9

5件(平成15年度)と2 1 5件(同16年度)と販売PT全体では

中ないし上位の結果であり,同人の人事評価は平成15年度及び同1

6年度とも「期待し要求する程度」との評価である「C」評価であっ

たこと,原告鏡のそれも,訪問件数は6866件(平成15年度)と

7642件(平成16年度),受注件数は20件(平成15年度)と1

8件(同16年度),アンケート回答件数は999イ牛(平成15年度)

と1059イ牛(同16年度)と販売PT全体では上位の結果であり,

同人の人事評価は平成15年度及び同16年度とも「C」評価であっ

たこと,他方,原告横澤のそれは,訪問件数は1025イ牛(平成15

年度)と2977件(同16年度),受注件数は15イ牛(平成15年度)

と10件(同16年度),アンケート回答件数は37件(平成15年度)

と14イ牛(同16年度)というように,販売PT全体でも下位の結果

であったが,人事評価は平成15年度が「C」評価で,同16年度は

年末特別手当の際の査定が「期待要求する程度下回る」との評価であ

る「D」であったものの,その余の査定はいずれも「C」であったこ

と,以上の事実が認められ,これによると,原告緒方,同鏡の人事評

価は通常レベルのもの,また,原告横澤が受けた人事評価もほとんど

通常レベルのもので,平成16年度年末特別手当の際の「D」評価は,

原告緒方及び同鏡の業績・成果をも勘案すると,同人の業績及び意欲,

姿勢を反映したものであることは明らかで,その評価には理由がある。

してみれば,満了型等社員であるからとの理由により,人事評価が低

位とされているということはできないから,上記Aは採用することが

できない。

さらに,前記Bについては,証拠(乙258)によれば,例えば,

販売PT特販担当第6グループにおいて設定された平成16年度の販

売・営業目標数値は,販売目標が1年で55ないし70回線(資格等

級に応じて異なる。),1日の訪問件数,コンタクト件数,提案件数,

アンケート収集件数はそれぞれ,40イ牛,10件,2件,5件であっ

たことが認められるところ,この数値が過酷なノルマ設定といえるか

は本件証拠によっても判然としない。また,これを措いて,一応,上

記でみた原告緒方,同鏡の業績・成果を上記目標と比較してみると,

販売目標は明らかに未達であるものの,訪問件数やアンケート収集件

数は目標数値に相当近い件数に至っているともみられること,さらに

は,上記のとおり,原告緒方,及び間接は上記目標数値からすると,

目標数値に達していない可能性もある同鏡が,人事評価は通常レベルの評

価である「C」となっていること(なお,原告横澤は明らかに目標数

値に達していないとみられるが,それでも,平成15年度の人事評価

はすべて,また,間16年度のそれは概ね「C」となっている。)を勘

案すると,原告緒方,同鏡及び同横澤に拘束性のあるノルマが設定さ

れていたとも認められない。よって,上記Bも採用することができな

い。

(ウ)以上によれば,本件命令が原告緒方,同鏡及び同横澤に対する報復の

目的でされたとは認めるに足りない。

() また,原告緒方らは,今後,実施される雇用形態の選択において,必要

的選択対象社員となるであろう社員に対する関係で,本件命令のような

広域の,しかも,従前の職務経験と全く異なる職務を命じることにより,

満了型を選択することを控えさせるという威嚇的効果を企図して,本件

命令が発せられたとも主張する。しかし,本件命令を発することにより,

他の社員との関係で原告らが主張するような効果をもたらすことも考え

られないではないものの,上記(イ)で詳細に検討した結果に照らせば,こ

れが原告らが主張するような威嚇的効果を企図してされたとまでは認め

るに足りない。

よって,この主張も採用することができない。

エ 最後に,本件命令による原告緒方,同鏡及び同横澤に生じた不利益の内

容・程度につき判断する。

図 本件命令により,原告緒方が仙台市に居住する家族と離れて,当初は埼

玉県内,次いで東京都内に被告が設置している単身者用住居(寮)に入

居して,生活・勤務していることは,当事者間に争いがない。

 

<原告のプライバシーにつき削除>

 

 してみれば,原告緒方は,本件命令に

伴い,やむを得ず単身赴任を選択したものと認められる。

そして,上記のような遠隔地への配置転換による家族との別居,また,

原告緒方は長らく生活の本拠を仙台市に置いていたところ,本件命令に

より,従前,居住経験のない首都圏地域で生活せざるを得なくなったこ

と(甲b 3, 原告緒方哲夫)などといった生活環境の変化は,原告緒方

にとっ社会生活上,看過し難い不利益となることはいうまでもない。

しかし,我が国における雇用システムが長期雇用を基礎として,流動的

な従業員配置を前提とするものとして構築されており,それゆえ,遠隔

地への配置転換がされる例が少なくないことを勘案すると,社会通念上,

遠隔地異動により生じる家族との別居,そして,生活環境の変化などと

いった社会生活上の不利益は,職業生活を維持・展開する過程で通常,

生じ得る範躊の不利益と評価されているとみるのが相当である。加えて,

証拠(乙8,5 2,1 1 4 , 1エ8〜1 2 0)及び弁論の全趣旨によれ

ば,被告は世帯を有する社員の遠隔地異動に対応するため,世帯全員の

移転が可能となるよう家族用の社宅や,単身で赴任する社員のためには,

低廉な価格で食事を提供する施設を備えた単身用社宅を整備するととも

に,引越や異動に伴う子女の教育関連の経済的出費についても,一定の

限度はあるものの,資金面での援助措置を定めていること,また,単身

で赴任している社員には月額3万円の単身赴任手当を支給するほか(被

告就業規則1 0 0条),帰郷に件う経済的負担に対応するものとして6か

月の範回で7回の帰郷を限度として,その交通実費を支給するとの措置

を講じていることが認められる。

以上のような我が国の雇用慣行を前提とした場合の単身赴任による不

利益の受け止め方や,被告における遠隔地異動(単身での赴任となるも

のも含む。)についての諸種の負担軽減措置の整備状況をも勘案すると,

原告緒方に生じている上記のような生活上の不利益が,通常甘受すべき

程度を超えるものとはいえない。

(イ)次に,原告緒方,同鏡及び同横澤の職業生活面につきみてみる。

a 既述のとおり,本件命令により,原告緒方,同鏡及び同横澤は従前,

経験したことのない,ないしは,従前,経験した営業業務と比べても 

相当異色なエリア営業(訪問販売を中心とすることは既述のとおりで

ある。)に従事することになったところ,同業務は,作業環境が気象条

件に左右され,かつ,相当な範囲の移動を件うばかりでなく,全く面

識のない一般市民の住宅等を突如,訪問するもので(証人城山厚生に

よれば,当初,リストを用いた営業が予定されていたが,法律的な問

題点が存在したため,結局,沙汰止みとなったことが認められる。)

訪問販売に拒絶反応を示す者も存在するであろうことからしても,肉

体的・精神的な労苦がかかるものであることは原告らの陳述書,陳述

によるまでもなく,明らかといえる。

しかも,本件命令当時,原告緒方,同鏡及び同横澤が既に51歳と

いう年齢であったことをも勘案すると,その労苦はなおのことといえ

るから,原告緒方,同鏡及び同横澤には職業生活上の不利益が生じて

おり,その程度も決して小さくはないといわざるを得ない。

b しかし,前記1(1)ないし(6)で認定した,被告を取り巻く経営環境

の大きな変化と,これによる収益性の大きな低下を勘案すると,被告

の事業運営及び社員の雇用形態の変化をもたらす本件改革の実施はや

むを得ないというべきであり,このことは,被告社員の圧倒的多数か

ら組織されるNTT労組が本件改革の実施を承諾し,かつ,原告ら以

外の圧倒的多数の中高年齢層の社員が,賃金の少なからぬ減額をもた

らす退職・再雇用型を選択して,退職に応じてOS子会社へ転籍し,

これまた少なくない不利益を甘受しているのである。 しかも,上記の

ような被告の経営環境の変化は,我が国における電気通信事業政策の

変化や,技術革新や一般ユーザーである国民の情報通信に対する要望

の多種・多様化といった被告において制御不可能な事情によるもので

あり,かつ,その変化の傾向も,その後の事情の好転を望めない構造

的なものであったとみるのが相当である。

c してみれば,上記のような状況を前提とする限り,従前どおりの労

働関係及び従前どおりの賃金面が維持されている原告緒方,同鏡及び

同横澤において,一定の職業環境の変化を受けることも,なお,やむ

を得ないというべきであって,これが通常甘受すべき程度を超えるも

のと評するには足りない。

オ 以上,イないしエの評価・判断を踏まえると,原告緒方,同鏡及び

同横澤に対する本件命令は,業務上の必要を全く欠くものであるとか,不当な

目的,動機でされたものということはできない。加えて,本件命令により

被る原告緒方,同鏡及び同横澤の不利益が,既述の業務上の必要性との関

係で均衡を失するほどのものともいえない。

したがって,上記の検討結果の範囲の限りでは,原告緒方,同鏡及び同

横澤に対する本件命令には,上記の人事権濫用の事由があるとはいえない

が,なお,上記原告らが主張する個別の事情も斟酌した上で,最終的な評

価・判断を後記(4)で示すこととする。

カ 次に,原告古舘につき判断する。

 本件命令当時,原告古舘は宮城支店法人営業部において,法人営業業務

に従事していたところ,前記1,(6),ウ,()及び(8),イ,(イ),b並びに証

(証人星司・21〜23頁)によれば,同業務の多くの部分は,構造

改革リファインにより,0S子会社である新NTT−ME東北へ委託さ

れることとなったこと,また,構造改革リファイン後に宮城支店法人営

業部に残る業務は,大規模システムの受注が見込めるような大規模な会

社や官公庁を対象とする営業であり,同業務に従事するには,高度な専

門的な能力・技能を要したことが認められ,この認定に反する甲g 4,

原告古舘義男の記述,供述は採用することができない。このように,原

告古舘については,構造改革リファイン後も,被告内に同人が従事して

いた法人営業それ自体は存在したものの,新NTT−ME東北への業務

委託により,その業務量は減少するため,人員の調整を要することとな

ったといえる。

()また,別表1−7の原告古舘の職務経歴及び証拠(甲g4,乙2 1 4,

証人星司,原告古舘義男)によれば,@平成12年12月に,原告古舘

は宮城支店営業部カスタマー営業担当に異動を命じられ,顧客情報管理

や販売パートナーの販売情報によるISDN電話勧奨活動に従事した

,平成14年4月に同支店法人営業部第一法人営業部門業務推進担当,

同年7月に同支店営業部法人営業担当として法人営業等の業務につき研

修を受けた後,同年10月からは法人営業業務に従事したこと,しかし,

Aそもそも,原告古舘は電報関連業務に長らく従事していたが,平成1

0年12月,旧NTTの電報関連業務のうち,電報受付業務が財団法人

電気通信共済会(以下「テルウェル」という。)に委託され,また,同1

2年12月には,電報の着信管理業務もテルウェルに委託されたことに

より,上記のとおり営業部門へ異動したもので,営業業務の経験は浅い

ものであったこと,また,B法人営業業務に従事していた際の原告古舘

の業績・成果は,同人の所属部署(第5営業担当)の中で,極めて低位

にあったこと,以上の事実が認められる。してみると,本件命令当時,

原告古舘についても,再配置の必要が生じていたとみるのが相当である。

なお,販売PTに人員を充てる必要があったことは前記イ,()で判示し

たとおりである。

(ウ) 次に,原告古舘を販売PTに異動させることについての職務適合性に

つきみると,上記(イ)で判示した原告古舘が営業業務に従事するに至った

経緯やそこでの営業成績等によれば,同人が営業に関する十分なキャリ

アを有していたとみるのは困難であり,その意味では,原告古舘につい

ても,同人を訪問販売を中心とするエリア営業に従事することを命じる

本件命令は,職務適合性の観点からは問題がないとはいえない。しかし,

前記(2),イ,(ウ)で判示した点々,原告古舘が長年従事した電報関係業務

に異動先を求めることは困難であるから従来のキャリアと無関係な分野

に異動することは不可避であると解されること,原告古舘が本件命令よ

り被る社会生活上及び職業生活上の不利益も通常の労働契約関係の展開

に随伴する範囲及び程度を超えるものとはいえないこと,加えて,十分

なキャリア形成には至っていたとはいえないものの,一応,数年にわた

る営業業務への従事経験があることを勘案すると,原告古館を情報PT

への異動対象として選定した前記1,(8),イ,(イ),bの過程に合理性が

ないとはいえないから,本件命令は人選の合理性を欠くものではない。

() 続いて,不当な目的,動機の有無につきみると,原告古館の主張は前記

ウで評価・判断したものと重なるので,その評価・判断も上記と同様で

ある。なお,証拠(乙2 14,320,原告古舘義男)によれば,販売

PTに異動した後の平成15年度及び同16年度の業績・成果は,訪問

件数は486件(平成15年度)及び3359イ牛(同16年度),受注件

数が10件(平成15年度)及び9件(同16年度),アンケート回収件

数が4件(平成15年度)及び12件(同16年度)と販売PT全体で

も下位の結果であり,それゆえ,平成15年度の同人の人事評価は「C」

であったが,同16年度のそれは「D」となったことが認められるが,

これを前記ウ,(イ)でみた原告緒方及び同鏡の業績・成果とを併せみるな

らは,上記の人事評価は原告古館の業績及び意欲,姿勢を反映したもの

であることは明らかである。

よって,本件命令が不当な目的,動機によりされたとはいえない。

() 最後に,本件命令により原告古舘に生じた不利益の内容・程度につき

判断すると,本件命令により,原告古舘が原告緒方と同様に,宮城県内

に居住する家族と離れて首都圏地域に単身で赴任していることは当事者

間に争いがない。また,証拠(甲g4,原告古舘義男)によれば,原告

古舘も本件命令により,居住経験のない首都圏地域で生活せざるを得な

くなったと認められ,これによる生活上の不利益が生じているといえる。

また,原告古館は,本件命令により,従前経験した営業業務と比べても

相当異色な訪問販売を中心とするエリア営業に従事することになったこ

とも,前示したところからも明らかであり,これによる職業生活上の不

利益も生じているといえる。

しかし、前記エの評価・判断は上記についても同様に当てはまるもの

であるから,原告古舘に生じた社会生活上及び職業生活上の上記不利益

は,通常甘受すべき程度を超えるものとまで評価するには足りない。

()以上によれば,原告古舘に対する本件命令は,業務上の必要を全く欠

くものであるとか,不当な目的,動機でされたものということはできな

い。加えて,本件命令により被る原告古舘の不利益が,既述の業務上の

必要性との関係で均衡を失するほどのものともいえない。 したがって,

上記の検討結果の範囲の限りでは,原告古舘に対する本件命令には,上

記の人事権の濫用の事由があるとはいえないがなお,原告古記が主張す

る個別の事情をも斟酌した上で,最終的な評価・判断を後記(4)で示すこ

ととする。

(3)原告大内らに対する本件命令について

ここでも,原告大内らを情報PTに配置した本件命令につき,前記(2),ア

と同様の要領により,検討する。                   

ア まず,原告大内らに対する本件命令に関する業務上の必要性の有無及び

程度についての評価は,次のとおりである。

原告大内らは乙選択において退職・再雇用型を選択しなかったため,

原告日野についてはOS子会社であるNTT−ME宮城への出向が解か

れ,被告に復帰することになったが(前記1,(6),ウ,()),復帰後の被

告には,原告日野が従前,従事していた業務は存在しなかったことは前

1(5),エ,()のとおりである。

また,原告成田,同古宮については,当時,同人らが従事していた業

務は他の関連企業に移管されることとなったばかりか,何よりも,同人

らが出向していたNTT−ME東北がOS子会社化し新NTT−ME東

北となることが予定されていたことから,上記原告日野と同様にそのま

ま新NTT−ME東北に出向を継続することができない状況となった

が,やはり復帰後の被告には,原告成田,同古宮が従前,従事していた

業務は存在しなかったことは前記1,(6),,()のとおりである。そして,

原告大内については,構造改革リファインにより,同人が従事していた

東北専用線サービスセンタでの業務が新NTT−ME東北への移行対象

業務となったため,向後,被告には,同人が従前,従事していた業務が

存在しなくなることとなった(前記1,(6),ウ,())

また,本件命令と同時に,人員規模1 0 0名程度とする情報PTの発

足・始動か予定されていたというのであるから(前記1(7),ア),同部

門に人員を充てる必要があったことは否定し難い。

()上記につき,@原告大内,同日野は,同人らが本件命令直前まで従事

していた業務はOS子会社である新NTT−ME東北に存在するから,

原告大内については同人を同社に出向させ,また,同日野については出

向を継続させて,これらの業務に従事させることは可能であるし,また,

そうすることこそ,被告の合理的運営に寄与するとし,かつ,原告成田,

同古宮も元来,同人らが従事していた業務はやはりOS子会社である新

NTT−ME東北に存在するのであるから,両名を同社に出向させるべ

きであると主張するほか,A原告大内らは,そもそも,被告が情報PT

を設置する必要はなかったと主張する。

しかし,上記@は前記(2),イ,()で判示したとおり,本件人事方針を

前提とする限り,原告大内らをOS子会社である新NTT−ME東北ヘ

出向させることは困難というほかない。よって,上記@の主張は採用す

ることができない。また,上記Aの主張についても,前記1(2)ないし

(6)(7),アの認定事実及び証拠(乙70,1 7 4, 証人鳥越健治,同布

田智行)より認められる,@旧NTTの組織再編直後ころから,固定電

話市場全体が通話料値下げを軸とする自由競争化が急激に進行し,被告

の収益力は急激に悪化し始めたこと,Aそのため,このような経営環境

の下でも利益を保持し得るだけのコスト削減を行う必要があるとして,

構造改革によるコスト削減施策が策定・実施されていたこと,Bそのよ

うな中,当時,被告では本社,支店といった各部門などごとに散在して

いた多数の業務処理システムを統廃合することにより,相当額のIT関

連コストが削減できると見込まれたこと,C従前においても,技術部や

被告の関連会社によりシステムの統廃合は試みられたものの,有効・適

切な統廃合を実践するにはシステムのみの調査だけでは足りず,当該シ

ステムに対応する業務それ自体の調査をすることが必要であったが,そ

のような作業を遂行するには,技術部の従来のスタッフの人員規模・能

力では十分でなかったことなどの事情を勘案すると,コスト削減の見地

からシステム統廃合等に専門的・集約的に取り組むことは相当と認めら

れるから,かかる業務に対応する部門として情報PTを設置する必要性

がなかったということはできない。

なお,原告大内らは,平成15年当時,業務主幹やシステム主幹によ

るシステム統廃合作業は既に実施されていたのであるから,敢えて情報

PTを設置すべき必要はなかったとも主張するが,上記Cの認定事実に

よれば,業務主幹やシステム主幹による従前のシステム統廃合策の方法

では効果的な統合効果が得られなかったために,情報PTが設置された

というのであるから,業務主幹やシステム主幹によるシステム統廃合が

されていたからといって,情報PT設置の必要性は何ら左右されない。

また,原告大内らは,平成15年4月の時点で情報PTを急遽設置し

て,システム統廃合に関する調査等を実施しなければならないほどの緊

急性はなかったとも主張するが,配置転換命令の基礎となる業務上の必

要性は,企業の事業運営に寄与するものであれば足り,緊急の必要性が

なければ,これが肯定されないというものではないから,仮に,情報P

Tが仮に平成15年4月の時点での設置を急がなければならない事情に

乏しかったとしても,上記のとおり,これを推進すべき必要性があるこ

とは否定できない以上,情報PTを設置すべき必要性が否定されるもの

ではない。

()次に,人選の合理性について検討する。

a 原告大内らは,情報PTの業務は,高度なコンピュータに関する知

識・技能を要する業務であるが,原告大内らはほとんどコンピュータ

の知識を有せず,また,そのような業務を取り扱った経験もなかった

のであるから,原告大内らに対する本件命令は,人選の合理性を欠い

ていると主張する。確かに,情報PTが設置された経緯は前記1,(7)

アのとおりであるところ,証拠(乙178〜182, 185〜2

11,213, 原告大内忠雄,同古宮正道)及び弁論の全趣旨によ

れば,原告大内らの本件命令前後において従事した職務と情報PTでの

職務とを比較すると,情報PTにおける作業はコンピュータを多用する

ものとならざるを得ないものであることが認められ,これに,原告大内

らの本件命令当時の年齢が51歳を超えるものであったことをも勘案す

れば,情報PTにおける作業内容は,従前,原告大内らが従事してい

た業務と比較すると,0Aの要素が相当高いものであって,その作業

環境には少なからぬ変化が生じたとみるのが相当である。

b しかし,情報PTにおける業務を子細にみてみるならば,前記1

(7),アのとおり,同業務は,システム構築という高度な知識・技能を

要求されるシステムの構築・提案を核とする部分と,その準備作業と

もいうべき,数々の業務に関する知識を用いて,各種システムやこれ

に関する仕様書,取扱説明書を解読して,そこで取り扱うデータの意

味・機能を探究し,整理するという部分とに分類することができ,原

告大内らが担当することを命じられたのは後者の部分である。してみ

ると,そこで重視される能力・技能というのも、設備系等の業務に関

する知識・経験なのであって,高度なシステム知識・技能が要求され

ているのでもないから(前記1,(8),アで触れた情報PT基準が,シ

ステムの仕様書や設計書,業務マニュアルを理解するだけの業務知識

や,システムの操作経験を重視したものとなっているのはその証左と

いえる。),原告大内らを情報PTへの異動対象者に選定することが,

原告大内らが主張するほどに職務適合性を欠くものとはいえない。

c また,原告大内らは,情報PT所属の社員の多くの人事評価がD評

価となっていたことや,証拠(甲29)に,組織的対応をとった社員

につき「スキルアンマッチ」が生じる旨の記述があることを根拠とし

,原告大内らの情報PTへの異動に対する職務不適合性を主張する。

しかし,前記(2),イ,(ウ)で判示したように,そもそも,人事配置にお

ける人と業務との適合性は当該労働者のキャリア経歴からは直ちに判

別し難い面があり,実際の職務適合性は,当該労働者をその職に就け

た後でなければ真の適合性は判定できないことからすると,情報PT

に配置後の人事評価から本件命令当時の問題である人選の合理性を直

ちに論定するのは相当でない。

 

<原告のプライバシーに関わるため削除>

 

 以上によれば,本件命令に業務上の必要性が欠けるとはいえない。

イ 続いて,不当な目的,動機の有無につき判断する。

原告大内らも,本仲介者が退職・再雇用型を選択しなかった同人らに対

する報復の目的,ないしは,今後,実施される雇用形態の選択において,

必要的選択対象社員となるであろう社員に対する関係での威嚇的効果を企

図して発せられたと主張するが,この点については前記(2),ウ,で判示し

たところと同様である。なお,前記1,(8),イ及び証拠(乙1 2 6,21

4,344)によれば,専用サービスセンタでは計5名,宮城支店,NT

Tサービス宮城,NTT−ME宮城,NTTビジネスアソシエ宮城では計

17名,NTT−ME東北には計22名の満了型等社員が存在したものの,

専用サービスセンタでは5名全員,宮城支店では2名及びNTT−ME東

北では10名だけが情報PTへの異動候補者とされたというのであるか

ら,やはり,満了型等社員であるが故に情報PTに異動するという関係は

認められない。また,そもそも,満了型等社員がすべて広域異動の対象と

なっているわけでもない(乙350,354)。           

よって,本件命令が原告大内らが主張するような不当な目的,動機によ

りされたとは認めるに足りない。

ウ 最後に,本件命令による原告大内らに生じた不利益の内容・程度につき

判断する。

図 本件命令により,原告大内が宮城県名取市に,同日野が同県石巻市に,

同成田が仙台市に居住する家族と離れて,首都圏地域に被告が設置する

単身借用住居(寮)に入居して,生活・勤務していることは当事者間に

争いがない。そして,原告大内,同日野及び同成田の本件命令に伴う生

活環境の変化は,上記原告らにとって,社会生活上,看過し難い不利益

であると認められるが,かかる不利益の評価については,前記A,エ,

図で判示したことがそのまま妥当し,通常甘受すべき程度を超えるものと

はいえない。

なお,原告古宮も,本件命令により被告が設置する単身者用住居(寮)

に入居して,首都圏地域で生活・勤務していることは当事者間に争いが

ないが,証拠(原告古宮正道)によれば,同人は世帯を有しない単身者

であるにもかかわらず,本件命令による異動後も,仙台市内の住居を確

保し続け,月に数回,同住宅に戻り,そのための経済的な支出を重ねて

いることが認められる。しかし,世帯を有しない単身者である原告古宮

仙台市と首都圏地域に住居を置くことは,同人の任意の判斯によるも

のというはかないから,上記のような経済的支出は本件命令により通常,

発生するものとはいえず,もとより,単身赴任手当や帰郷手当が支給さ

れるべき理由は社会通念上も認め難い。すなわち,原告古宮については,

通常甘受すべき程度を超える社会生活上の不利益が生じたとはいえな

い。

(イ)次に,原告大内らの職業生活上の不利益につきみると,前記アによれ

ば,原告大内らにとって,情報PTでの職務が,これまで従事していた

業務と比較すると,不慣れで,戸惑いの多い業務であったであろうこと

は容易に想定することができ,その意味では,原告大内らが本件命令に

より職業生活上の不利益を被ったことも否定することはできない。他方

で,前記エ,(イ)の判示のとおり,度重なる電気通信事業の規制緩和によ

る自由競争化により,被告の収益性は著しく低下し,被告を取り巻く事

業環境は大きく変化していること,そのため,原告大内ら以外の多くの

高年齢層の社員が賃金の低下をもたらす退職・再雇用に応じて,これま

た少なくない不利益を甘受していることを踏まえると,被告の新たな事

業構造の転換に伴って,原告大内らの職業環境が変化するのもやむを得

ないものというべきであり、これが,通常甘受すべき程度を超えるもの

ともいえない。

エ 上記アないしウの検討によれば,原告大内らに対する本件命令が,業務

上の必要を全く欠くものであるとか,不当な目的,動機でされたものとは

いえない。加えて,本件命令により生じる原告大内らの不利益が,既述の

業務上の必要性との関係で均衡を失するほどのものともいえない。

したがって,上記の検討結果の範囲の限りでは,原告大内に対する本件

命令には,上記の人事権濫用の事由があるとはいえないが,原告大内らが

主張する個別の事情も斟酌した上で,最終的な評価・判断を後記(4)で示す

こととする。

(4) 各原告が主張する異動障害事由について

ア 原告大内について

 

<原告のプライバシーに関わるので削除>

 

以上によれば,原告大内に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

イ 原告日野について

 

<原告のプライバシーに関わるので削除>

 

また,原告日野は,@地域における社会的貢献活動への参加や,A宮城

県石巻地区での組合活動の支障をいうが,社会的貢献活動ないし組合活動

を特に宮城県石巻地区で行わなければ無意味となるような事情も見当たら

ないから,上記@,Aのような点は,本件命令が権利濫用であることを基

礎づけるものではない。                       

さらに,原告日野は自らの健康状態の悪化を主張するが,これが本件命

令後に生じたものをいうものであることは,その主張からも明らかである

し,また,本件命令当時に同人の配置転換につき,配慮を要するとみられ

るような健康上の問題が存したことを裏付けるに足りる証拠もない。よっ

て,原告日野の健康状態の悪化は本件命令の異動障害事由となるものでは

ない。

そして,他に,原告日野につき,本件命令が権利濫用であることを根拠

づけるに足りる事情も見当たらない。

以上によれば,原告日野に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

ウ 原告成田について

 

<原告のプライバシーに関わるので削除>

 

以上によれば,原告成田に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

エ 原告古宮について

原告古宮は,本件命令による不利益として,首都圏から仙台への帰郷に

関する経済的負担の点を強調するが,前記のとおり,同人は独身者である

から,仙台へ頻回にわたって帰郷するのは同人の自主的な判断によるとい

うほかない。なお,原告古宮は同人に単身赴任手当や帰郷旅費の支給がな

いことを論難するが,上記のとおり同人は元々独身者として生活しており,

家族との別居という事態は生じない以上,単身赴任手当や帰郷旅費の支給

を問題すべき理由は見いだし難い。

以上によれば,原告古宮に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

オ 原告緒方について

原告緒方が,本件命令の異動障害事由として主張するのは,職業生活上

の不利益であるが,この点についての評価は前記で検討したとおりであり,

これが本件命令の異動障害となるものとはいえない。

 

<原告のプライバシーに関わるので削除>

 

さらに,原告緒方は,本性命今により,山形地域で従前展開していた労

働組合活動ができなくなったとの不利益を主張するが,前記イで判示した

のと同様,かかる事情は何ら本件命令が権利濫用であることを根拠づける

ものではない。

以上によれば,原告緒方に対する本件命今が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

カ 原告古舘について

原告古舘の主張は極めて抽象的であり,証拠(甲g4,原告古舘義男)

によっても,同人が主張する不利益は,自宅ないし家族と離れて生活しな

ければならないことをいうにとどまるというほかない。そうであれば,こ

の点についての評価は前記(2),カ,撃ナ判示したのと同様である。

以上によれば,原告古舘に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

キ 原告鏡について

原告鏡が本件命令の異動障害事由として主張するのは,職業生活上の不

利益であるが,この点は,前記(2),エ,()のとおり本件命令の異動障害事

由となるものとはいえない。

なお,証拠(甲c 3, 原告鏡茂俊)によれば,原告鏡は,本件命令以前

の平成12年に足(左踵部分)を骨折し,その後治癒したが,販売PTで

の業務に従事した後,同部分に痛みが出現するようになったことが認めら

れる。確かに,前記(2),ウ,()で認定した原告鏡の業績・成果を勘案する

と,上記の痛みは販売PTでの業務が一因となっている可能性も否定でき

ない。 しかしながら,上記骨折部分は平成12年には治癒に至っているこ

と(原告鏡茂俊),また,原告鏡が被告に上記事態を正式に申告したのは平

成18年4月に人ってからであること(甲96,原告鏡茂俊・23頁)を

勘案すると,本件命令当時において,原告鏡に対する配置転換に際し,特

段の考慮を要すべき身体的要素であったとまではいえず,本件命令後の事

後的な事情にとどまるというべきであるから,このことを考慮しなかった

ことで本件命令が権利濫用となるとはいえない。

よって,原告鏡に対する本件命令が人事権を濫用してされたものである

とはいえない。

ク 原告横澤について

原告横澤が本件命令の異動障害事由として主張するもののうち,職業生

活上の不利益については,これが通常甘受すべき程度を超えるものとはい

えないことは,(2),エ,(イ)のとおりである。また,通勤時間の長時開化に

ついては,催かに,証拠(甲i 3, 証人横澤仁志,乙300),によれば,

本件命令により原告横澤の通勤時間は従前の2倍近くを要することになっ

たというものの,その総時間は片道2時間程度であり,しかもそれは電車

に座るために長時間化していることが認められるから,この点が原告横澤

に対する配置転換についての障害事由となるようなものであるとは評し難

い。また,原告横澤の労働組合活動については,前記イのとおりである。

以上によれば,原告横澤に対する本件命令が人事権を濫用してされたも

のであるとはいえない。

(5) 手続的瑕疵について

最後に手続的な瑕疵の有無につき判断する。

原告らは,@構造改革に関する団体交渉における,被告の電通労組とNT

T労組との団交態度の違いや,A被告が原告らの要望を容れなかったことを

もって,手続的な瑕疵があると主張する。 しかし,上記@については本件証

拠によってもこれを裏付けるに足りる的確な証拠はないし,また,上記Aも

自らの意見・意向が容れられるところとならなかったことをいうものにすぎ

ず,本件命令の効力に消長を来すような手続的な瑕疵の存在を根拠づけるも

のではない。

よって,原告らの主張は採用することができない。

求@小括

以上によれば,原告らに対する本件命令は権利濫用に該当するものとはい

えない。

6 配転後の労働義務の不存在確認を求める訴え(前記1,1)について

前記2,4及び5で検討した結果によれば,本件命令が無効とはいえない以

上,原告らが求める労働義務がないことの確認を求める請求は理由がない。

なお,被告は,原告緒方らが求める上記の訴え(前記第1,1(2)及び(3))は,

販売PTで勤務すべき義務を前提とするところ,販売PTは,その後の組織再

鎖により,本社コンシューマー事業部へと移行し,現在,東京支店営業部内の

販売PT組織は存在しなくなったから,訴えの利益を欠くと主張する。確かに,

証拠(乙334〜336,339)によれば,平成17年2月に,コンシュー

マ事業推進本部営業推進部マーケティング部門が設置され,同年4月1目付け

で,原告緒方らがコンシューマ事業推進本部営業推進部マーケティング部門東

京センク(以下「東京センタ」という。)へ異動したことが認められる。しかし

ながら,東京センタは情報PTの組織をそのまま移行したものであることは被

告も自認するところである(もとより,原告緒方らの勤務事業所の所在地や職

務に変更があったと認めるに足りる証拠もない。)。 してみると,上記の組織再

編は情報PTの実態に変動をもたらすものではなく,それゆえ,原告緒方らを

東京センタヘ異動する旨の上記の配置転換もまた,本件命令をほぼそのまま承

継したものに等しいといえるから,被告が指摘する点から直ちに,原告緒方ら

の前記第1,1()及び(3)に係る訴えに関する確認の利益が消滅するとはいえな

7 損害賠償請求(前記第1,2)について

前記2,4及び5で検討した結果によれば,本件命令が権利の濫用には当た

らず,適法である以上,同命令が不法行為となることはないから,原告らの不

法行為による損害賠償請求は理由がない。

第4 結論

以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないので,これらを棄却する

こととして,主文のとおり判決する。

 

東京地方談判所民事第11部

 

裁判長裁判官  佐 村 浩 之

 

裁判官  篠 原 涼 一

 

裁判官土田昭彦は,転官のため,署名押印することができない。

裁判長裁判官  佐 村 浩 之

 

 

 

 

別表2-1 旧NTTの財務推移             単位  億円

 

総収入

営業収益

営業利益

経常利益

昭和60年(昭和61年3月期)

51340

50,914

6 843

3,161

昭和61年(昭和62年3月期)

53,984

53 535

7227

3 579

昭和62年(昭和63年3別別)

57 170

56 620

8 206

4,967

昭和63年(平成元年3月期)

57,056

56 526

7 047

4 259

平成元年(平成2年3月期)

58 474

57 692

6 654

4,847

平成02年(平成3年3月期)

60 344

59 584

5789

4,143

平成03年(平成4年3月期)

61 275

60 560

5,282

3,528

平成04年(平成5年3月期)

59,580

58 922

3,913

2 488

平成05年(平成6年3月期)

58 815

58 090

2 302

1094

平成06年(平成7年3月期)

59 582

58 756

2 443

1426

平成07年(平成8年3月期)

63,108

62 347

4411

3 289

平成08年(平成9年3月期)

64 543

63 712

4 783

3 659

平成09年(平成10年3月期)

64,171

63 223

4,086

3,566

平成10年(平成11年3月期)

62,449

61,370

2,438

2,373

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


別表2-2 被告の財務推移                   単位  億円

 

営 業 収 益※

営業利益

経常利益

当期損益

平成11年(平成12年3月期)

2154715499

707

567

-1572

平成12年(平成13年3月期)

2794519711

340

141

200

平成13年(平成14年3月期)

25 73617554

45

75

-1 867

平成14年(平成15年3月期)

23 52215821

483

633

30

平成15年(平成16年3月斯)

22 67115069

864

978

579

平成16年(平成17年3月期)

21809

877

976

581

平成17年(平成18年3月期)

21,253

659

842

512

 

 
 

 

 

 

 

 

 

テキスト ボックス: ※括弧内の数値は,営業収益のうちの「音声伝送収入」,「固定
電話収入」の内訳である。

 

 

 


別表3 採用数及び人員数の推移

【日本電信電話公社(旧公社)】              (単位:人)

      【日本電信電話株式会社(旧NTT)】        (単位:人)  

年度

採用数※医療系有資格者等を含む

人員数(年度末人員数)

 

前年度比

 

前年度比

昭和60(1985)

゛ 4,900

400

304,000

9600

昭和611986

4000

900

297600

6,400

昭和62(1987)

3,400

600

291,100

6500

昭和63(1988)

3200

200

276,700

14,400

平成元(1989)

2,900

300

266,000

10700

平成2(1990)

3,000

100

257,600

8,400

平成3(1991)

3,000

249,900

7,700

平成4(1992)

3,000

232200

n700

平成5(1993)

1,400

1,600

215,600

16,600

平成6(11994)

1,500

100

194,700

20900

平成フ(1995)

3,400

1,900

185,500

9,200

平成80996

3,400

182500

3,000

平成9(1997)

3,300

100

145,400

37,100

平成10(1998)

2,900

400

138,200

7,200

平成11(1999)

1,900

1,000

133,600

4,600

 

 

年度

採用数  ※医療系有資格者等を含。

人員数(年度末人員数)

 

前年度比

 

前年度比

昭和35(1960)

8,500

 

196600

 

昭和36(196n

15,300

6,800

203700

7100

昭和37(1962)

14,800

500

213,900

10200

昭和380963

16,700

1,900

223,100

9,200

昭和39(1964)

16,800

100

231400

8,300

昭和40(1965)

17,000

200

235,500

4,100

昭和411966

16800

200

245,200

9,700

昭和42(1967)

17,200

400

254400

9,200

昭和43(1968

16,300

900

262,800

8,400

昭和44(1969)

16000

300

270,700

,900

昭和45(1970

16,700

700

278,900

8,200

昭和46(1971)

14,600

2,100

486,100

207,200

昭和47(1972)

14,600

295,900

190,200

昭和48(1973)

14,000

600

302,700

6,800

昭和49(1974)

13,300

700

309,900

7,200

昭和50(1975)

12,000

1,300

316,900

,000

昭和51(1976)

10,000

2,000

322,100

5,200

昭和52(1977)

8,600

1,400

325,500

3,400

昭和53(1978

8,100

500

328300

2,800

昭和54(1979)

6 900

1,200

328,700

400

昭和55(1980)

6000

900

327,200

1,500

昭和56(1981)

7,100

1,100

326,700

500

昭和57(1982)

5,300

1,800

323300

3,400

昭和58(1983)

5,000

300

317,500

5800

昭和59(1984)

5.300

300

313.600

3.900

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

                                                                                

 

 

 

【東日本電信電話株式会社(会社)】             (単位:人) 

年度

採用数※E療系有資格者等を含む

人員数(年度末人員数)

 

前年度比

 

前年度比

平成111999

        −

        −

58,100

 

平成12(2000)

600

53,700

4,400

平成13(2001)

150

450

48,300

5,400

平成14(2002)

150

18,100

30.200

平成15(2003)

150

14,900

3,200

平成16(2004)

380

380