「学術会議任命問題」を制度の見直しにさせるな!

菅義偉首相の、たたき上げで苦労人の「人情派」のイメージは、権力をかさに異論を封殺する「陰湿・独裁」な政治姿勢があらわになっています。
日本学術会議が推薦した候補6人を任命せず、故・中曽根康弘元首相の内閣と自民党による合同葬に際して教育現場に弔意の表明を求める等「菅内閣は安倍政権以上に冷徹で強権的で独善的だ」と波紋を広げています。
「意に沿わない学者を弾圧して、戦争に突入していった戦前の軍部独裁の歴史を振り返り、その反省の上に現在の制度ができた。菅政権がやっていることは戦前の軍部独裁政権と変わらない。」多くの識者が警告しています。
本来、内閣から独立している人事院を掌握し、「憲法の番人」と言われた内閣法制局も人事で思い通りにし、検事長の定年延長では法を変えようとまでした、
次の標的は学者、教育者。そして最終的には民間にも拡げ国民は政権を批判できない最悪の社会になる彼らの狙いは極めて危険な物です。 


 
 
「国の金は、国民の金で政権の金でない」民営化は法違反だ

日本学術会議が「全額国庫負担」とされていることから、国に口を出されたくなければ「カネの面で自立」(つまり民営化)すべきとの主張も有ります。
そもそも「学術会議の役割は、国民の税金で支える事で時の政権からも企業からも独立を保ち、国民の利害という点から専門家が政権に直言すること」にあり、寄付企業の意向に左右されがちな民営化は、「独立」という意味で不適切です。「国の資金=政権への依存」という理屈は誤りで「税金は国民のカネであって、政権のカネではない」という当たり前の原則が見失われ「日本学術会議制度の見直し」を強行しようとする自民党等の思惑に飲み込まれてはなりません。


 
 
「軍事研究を拒否する学術会議をつぶせ」が目的


防衛省では2015年に「安全保障技術研究推進制度」を導入、防衛省が提示する軍事研究テーマに従って研究開発するものに、お金を提供する制度で導入当初は3億円だった予算規模は、今では100億円にもなっています。
戦争に協力した反省から日本学術会議では、1950年と67年に「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」と、「軍事目的のための科学研究を行なわない声明」の二つの声明を出しています。2017年にはこの二つの声明を継承することを表明しています。大学に資金を提供し軍事研究を進めたい政府にとって、学術会議の存在が邪魔で、そこが任命拒否の理由なので説明できないのです。

 

 「日本学術会議」問題は私達の問題だ


各界からも多くの批判が寄せられる中、国会論議でも「任命権は私(首相)にある。」「公務員の人事に関わるので差し控える人事なので明らかにできない」と居直り説明責任を果たさない態度に、菅政権の本質が有るのです。 
2015年に多くの学者が、学生や市民と一緒に「安保法制」反対に立ち上がりました。学術会議メンバーの“日本を絶対に戦争する国にしない”という強い思いが、共同行動の大きな力になったのです。今回の任命拒否は、それに対する真向からの攻撃で、「日本学術会議」の任命拒否をめぐる問題は、安倍・菅の「戦争する国」路線との対決であり、私達全体との闘いでもあります。