2021年 年頭アピール

 国民を蔑ろにする菅政権を、
総選挙をはじめ、あらゆる闘いを結集して打ち倒そう!


 国内における新型コロナウイルスの感染症は、第三波と言われる急速な拡大状況にあり感染者22万人(死者3200人)超え、政府の診療体制や処遇の改善がない中で、医療離職者も増え、通常診療にも支障が出る状態で医療現場は崩壊の危機にあると悲痛な訴えが出されています。
新型コロナウイルスは、医療の問題にとどまらず、社会問題、経済問題、政治的問題になっており、感染症の流行と世界経済危機の同時進行による人類生存の危機の始まりとまでいわれています。
今世紀になって頻発する新たな感染症は、新自由主義による市場優先の乱開発と自然破壊、そして廉価を求める生産拠点・供給のグローバル化の矛盾が根底にあるとされています。
気候変動、自然災害の大規模化といった地球温暖化問題と合わせ「自然と環境に対する人間の危うい接し方、森林破壊、軽率な消費行動」が問われています。

 国民が求める「感染拡大を抑え、医療現場の負担を軽減し命を守る」に対する菅政権の回答は「GoToトラベル」等、「今だけ・周りだけ・自分だけ」の近視眼的政策であり、東京五輪目当ての経済対策優先で、感染を更に拡大させ、コロナ死だけで無く、コロナ解雇者、生活困窮者や一人親など弱い立場の人々を直撃し、特に女性の自死を増加させ、助けられる命をも失わせています。
国や自治体からの一方的な感染防止「自粛」「隔離」要請に伴う偏った正義感や不安感の矛先が感染者や医療従事者、家族等に向かわせています。
政府へ緊急対策を求めると同時に、働く者たちが生活を軸に団結し、他人を非難し排斥せずに「自助・共助」ではない寛容性を持つ「共生」する取り組みを労働組合は率先してやらなければなりません。

   

 コロナ感染防止対策とコロナ被害への支援取組みの強化しよう 

 第三波の新型コロナ感染症の急速な拡大状況のなかで、 これまでにも増して職場での感染防止対策の取組みの強化が求められています。
また緊急対応策として始めた在宅勤務、テレワークに関しても、長時間労働など、労働環境、労働条件の検証が絶対に必要です。

新型コロナ感染症拡大により、8万人もの解雇や雇止め、手取り賃金の低下が急増する中で、困窮相談が例年の3倍に増えて上期「4〜9月」では39万件と、その後も毎月5万件前後で推移(厚労省調査)しています。
多くの労働組合が、困難な状況下でも、新型コロナ感染症から労働者、家族、利用者の命と健康を守るため闘いや取組みが続けられてきました。
そうした中、厚生労働省は、ようやく11月「新型コロナウイルス感染症分科会の緊急提言」発出、「職場における新型コロナウイルスへの感染予防及び健康管理について」を通知しました。


「職場における新型コロナ感染症の拡大を防止るためのチェックリスト」を活用し使用者側へ強く対策を要求しましょう。
また、東京都が、コロナの影響で職や住まいを失い生活困窮に陥っている人を助ける年末年始の宿泊場所を提供する「TOKYOチャレンジネット」に繋げる運動として日本労働弁護団呼びかけで労働三団体(連合・全労連・全労協)始め市民団体等が「年越し・支援コロナ被害相談村」(コロナ村)を新宿の大久保公園に開設しました。私達もこうした取り組みを支援し結集していきます。


   
 
時間給で働く人々にとって「8時間働けば暮らせる賃金」は死活問題
 コロナ便乗攻撃を許さずともに闘おう!

コロナ禍で非正規労働者は「貧困」に直面し、雇用の保障と最低限の生活を維持することさえ困難になっており、正規労働者とても例外ではありません、労働者の実質賃金は1997年をピークに下がり続けています。
一方、大手企業は、中小企業への買い叩きの常態化等も含め、軒並み経常利益を更新し475兆円を超える内部留保を積み上げおり、その責任と横暴を許さずコロナ危機下でこそ供出させなければなりません。

今こそ最低賃金の大幅引き上げが必要で、時間給で働く人々にとって「8時間働けば暮らせる賃金」は死活問題で早急な実現が必要です。
また、コロナ下で、大企業から他企業への出向、ダブルジョブ、トリプルジョブを促進するような、「ジョブ型雇用」の促進や、副業・兼業を奨励する「日本型雇用」の見直しが「働き方改革」と合わせて奨励されていますが、労働と賃金は、労働権と生存権に基づいて保障されなければならず検証も不可欠です。

これらは、雇用構造を変化させ労働法の適用除外を増大し、労働者を区別・選別・排除するもので「労働市場の再編」を通じて「労働者の定義」を大転換することで注視して行かなければなりません。
同時に進むデジタル化は、マイナンバーとビックデータ融合の国民管理であり、キャッシュレス化は、全ての金銭取引を追跡可能にする為です。既に、コロナ感染に名を借りた人出のドコモデータ活用、各自治体の接触者追跡アプリ(COCOA)、空港などでの「顔認証」等が運用されています。


   

 
 「2021年度予算案」の閣議決定と「グリーン成長戦略」発表
    コロナ対策/徹底した効果と優先順位の検証が必要だ

 菅政権は12月21日106兆6千億円の2021年度予算案を閣議決定しました。
防衛費に5兆円、国土強靭化には5年で15兆円、デジタル化にも同様です。
菅首相は「グリーン投資を大きく進めるための基金、官民のデジタル化のための経費など十分な額を確保した」としていますが、一方で、緊急に必要なのは、コロナ対策としての医療や生活の為の予算のはず、補正予算で対策済みとし、恒常的な医療報酬や介護報酬など、喫緊の課題の医療体制の改善には程遠く、コロナに苦しむ国民を支える財政措置は見送りされています。
感染「第3波」に見舞われる中、コロナに苦しむ国民を支えるべき十分効果的な財政措置となったかの徹底した追及が必要です。
更に、政府は12月25日、2050年の脱炭素社会へ向けた「グリーン成長戦略」発表し温室効果ガス排出量実質ゼロ化へ「再生可能エネルギー普及・電気自動車への移行、水素利用、原発の活用」を柱とする成長戦略として30年で経済効果30兆円、50年では190兆円見込み、産業界に取り組みを要請しました。
電力需要は現状より30-50%増加を想定し、次年度予算案では研究開発支援に2兆円の基金。デジタル化を促すため1兆円規模の関連費用。コロナ禍での中長期の課題に対し緊急性の高い事業なのかと疑問を感じるものです。

「グリーン成長戦略」は、政府と経済界とが連携し、「SDGs」「カーボンニュートラル」等の世界で拡がる環境破壊を食い止める運動で使うスローガンや言葉を巧みに利用し、脱炭素を口実に進めるものです。
再生可能エネルギーとした太陽光発電、風力発電、バイオマス発電と大規模開発を進めるのも特徴ですが、これらは大規模化、効率化などで既に新たな自然破壊・環境破壊が起きており、「電気自動車のコスト」と言われるレアメタル問題(リチウム等の電池)採掘に伴う水質汚染、環境汚染、奴隷労働や児童労働等の蔓延、有害物質吸引や、落盤事故等の労働災害が多発しています。
こうした「緑の経済成長」を目指す日本を始め、先進国の取り組みは「地球環境破壊の付け替え」と言わざるを得ず検証が不可欠です。


「戦後レジームからの脱却」を掲げた安倍前政権の、様々な分野での強引な制度的改悪はコロナ禍で阻害物となり状況を悪化させています。
先ごろの安倍前首相「桜・虚偽答弁」の釈明は国民の怒りを倍加させ「安倍継承」の菅政権へも反発は拡がっています。
今こそ、あらゆる闘いを結集して2021年、菅自公政権を打ち倒しましょう。



                            電気通信産業労働組合執行委員長 大内忠雄