2019年 年頭アピール

 

 総裁選3選を果たした安倍首相は、国民の反対を押し切り、強権的な国会運営で民主主義を破壊し、「入管難民法改正」など悪法を次々と成立させました。

 だが沖縄県知事選では、翁長前知事の遺志をつぎ、辺野古新基地建設反対を掲げた玉城デニー氏が過去最高の39万超の票を獲得し「オール沖縄」として勝利しました。

 しかし「選挙結果を真摯に受け止める」と語った安倍首相は、玉城知事の再三の中止要請を米国に主張することなく拒否し、沖縄県民の意志を無視して12月14日には土砂投入を強行し、更に、次期国会で憲法9条の2020年改正に向けて発議を進めようと突き進んでいます。

 一方では、アベノミクス破綻の中で、頼みとする株価は2万円を割り込み、
成長戦略の柱とした「原発輸出」もほぼ失敗が明らかになり、「北方領土」問題も含め、安倍外交の基本は米国追随で、兵器購入を求められれば、言われるままに了承し増えたのは防衛費と国の借金だけです。

 それなのに来年の消費税10%増税に向け景気対策の名の下に無茶苦茶な大盤振る舞をしようとしています。
 
    2019年は、統一地方選・参院選を視野に「改憲発議」を狙う安倍政権の暴走を止める闘いが1月通常国会から始まります。

 私たちは、秋の国会で「自民党憲法改正案」を提出させなかった事。沖縄県知事選に圧勝した事。「モリカケ」以降、政治腐敗は深まり、おごり政治が蔓延し官邸独裁「安倍政治」に対する怒りが「入管難民法」「水道法」「漁業法」等に対する世論調査でも明らかな事。

 
更に、沖縄での辺野古工事のデタラメな許認可や、辺野古新基地の賛否を問う「沖縄県民投票」を始め。石垣島での自衛隊基地新設を問う「住人投票」。女川原発の再稼働を問う「宮城県民投票」など人権と地方自治を「主権者である住民が決める」運動が拡がり安倍暴走政権を止める動きは強まっており、市民共同・野党共闘の重要性がますます問われてきています。
 こうした状況は、新自由主義グローバリズムの中では世界的な情勢なのです
アメリカのウェスト・バージニア州の教職員の州議会への要求から始まったストライキは、「赤いTシャツ運動」としてアリゾナ州とノース・キャロライナ州での州都での大規模集会や、シカゴでの史上初のチャータースクール(公設民営学校、アメリカ各地で公立学校が廃校になり、民営化に転換)では保護者も参加し4日間のストライキを打って勝利しています。

 フランス、マクロン政権の「炭素税」と呼ばれる環境対策を名うった軽油・ガソリン税の値上げ抗議から始まった運動は、富裕税(不動産以外)の廃止や有価証券譲渡税の一律化など、最も豊かな層を優遇する一方、住宅援助を削減し年金に増税し、「金持ちのための大統領」に対する庶民の不満が「反射安全ベストをつけて道路を封鎖しよう」という呼びかけが各地で生まれ「黄色いベスト運動」として拡大しました。
 しかも政党、労働組合、市民団体が組織するのではなく、ふだんデモや政治活動に参加しない人々、とりわけ農村部・都市周辺の人々が政府に反対し、自発的にアクションをよびかけた運動で、新しい形の民衆運動と言われています。

 「黄色いベスト」デモ隊は多くがフランス北西部の大都市郊外周辺や農村出身で、 工場、配達、ケア、IT、事務職種で働きながら、みんな生計を維持するのが難しいと話しており低賃金雇用と失業に苦戦する人々で、物価と賃貸料は上がっているが、雇用は求め難く見つけても低賃金のケースが大半と言われます。野党や労組などの既成勢力がマクロン政策に影響力を持てない中で「黄色いベスト」運動は初めて法案を撤回させ、政権に譲歩を強いて大多数の国民の支持や理解を受けながら社会を動かしています。

 「政府はみんな失せろ(デガージュ)」「国民は主権者であって、国家元首にも政府にも従属しない」は「黄色いベスト」共通スローガンです。
 社会的不公平(不公平な税制、富裕層・巨大企業の優遇と庶民の貧困化)に対する抗議。庶民の意見が代弁されない政治制度に対する抗議と直接民主主義の要求の流れはEU域内にも拡がっています。
 
    私達 労働運動でも「働き方改革」法の施行。ベア引き上げ無しの19春闘。
「入管難民法改正」に伴う外国人労働者との共生。最低賃金の引き上げ。水道を始め、教育・育児保育・介護・医療など公共サービスが金儲けの手段にされ、現在の非正規雇用、低賃金、過重労働が深化される等の多くの課題が有ります。

 こうした課題は、労働運動だけで解決する事は不可能で、これまでの市民運動、地域運動との連携に加えて、どこから、どんな闘いが起こっても共に闘える様、社会運動化、ネットワーク化として闘う意識を常に持つことが必要です。

 2019年は、今後の社会の在り方を決める年にならざるを得ません。「沖縄のように、沖縄とともに」未来を信じ闘い続けましょう。


            電気通信産業労働組合執行委員長 大内忠雄