NTT総務省接待問題 社長ら16人「報酬減額」処分での幕引きは許されない!

接待29回でも「行政の判断がゆがめられた事実は確認されず」と。 
総務省幹部らへの接待問題で、6月7日、NTT特別調査委員会は調査報告書を公表しました。


特別調査委の指摘を受け、NTTは、澤田社長の月額報酬を7月から3カ月間4割カットするなど経営陣4人の報酬減額処分を発表。接待に参加した12人も厳重注意し、再発防止に向け、利害関係のある大臣や公務員との個別会食を原則実施しない事などのルール化を図るとするが実効性は疑問です。

特別調査委は、総務省の幹部や政務三役らに対するグループ各社で29回の接待を認定し、「法令違反を誘発・助長した」「国民の疑惑を招きかねない」と批判するも便宜供与の依頼などは「認められなかった」とし、「行政の判断がゆがめられた事実は確認されなかった」との結論には到底納得はできません。
 (接待回数はNTT 15回、NTTドコモ 12回、NTT東日本 1回、NTT西日本2回、NTTデータ 2回)

 
NTT接待は「東北新社」問題とは別次元、ユニバーサルサービス問題だ

一連の会食は菅首相が力を注ぐ携帯料金の値下げや、NTTドコモの完全子会社化が進んだ時期と重なり、接待回数からも群を抜いています。
これまでNTTにドコモへの出資比率の引き下げを求めていた総務省はNTTが昨年9月に完全子会社化の方針を公表すると、すぐに計画を容認、携帯料金値下げ公表を大絶賛しました。


 NTTは1985年の電電民営化で出来た特殊会社で、いまも国が発行済み株式総数の3分の1以上を持ち、NTT法では、最低限の通信・通話サービスを全国一律に提供する義務(ユニバーサルサービス)が定められ高い公益性を持ち、取締役の選任や毎年の事業計画には総務省の認可が必要です。
過去も総務省幹部とNTT社長らの会食は有るも、澤田社長就任直後の2018年から「接待」が急増し、総務省が「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」 を情報通信審議会に諮問した時期とも一致、元総務大臣の管首相は「携帯電話料金の値下げ」を主張、NTT主導の「携帯電話料金値下げ」が実現され、「接待回数」は総務省と NTTの癒着を明らかにしています。

 本年5月から施行されたNTT法一部改正では「電話の提供がきわめて不経済となる場合、NTT東西による他の通信事業者の通信設備を用いた電話の役務の提供を可能」と、つまり山間辺地エリアや離島エリアでの設備、等の老朽化・故障などは修理せず、他事業者の設備を代替できる」とする内容で、公衆電話の設置基準削減に続きユニバーサルサービスまでも放棄したのです。 
 これは、総務省接待問題で「東北新社」の「許認可の便宜供与」レベルと根本的に違い、時の政権に追随・癒着し「NTT法」を空洞化させ、公正竸争確保・ユニバーサル税の徴税根拠も否定するもので大問題です。

澤田社長を始め幹部は総辞任を、総務省との癒着・談合を断ち切れ

 一連の接待問題を受け、ソフトバンクやKDDIなど通信関連の21社は4月、連名で意見書を総務省に提出し、接待の影響の有無を徹底的に調べるよう要求。それまでNTTグループが予定する統合・再編を一方的に進めないように指導の徹底を求めています。
 澤田社長となってから、NTTグループは、ドコモの子会社化や組織再編と合わせ「共同調達規制の緩和」の実現、ドコモとNTTコムの統合等、グループ企業の一体化の方向や、東西業務の一元化など、組織の再編、働き方の見直しが急速に行われ人員不足や働き方の柔軟化など労働者へ負担が増えるばかりです。

癒着によりNTTと行政の根幹がゆがめられた事実は明白であり、NTTの労働組合として私達は、今回の結論は、絶対容認来ません。
 真相解明と澤田社長を始め幹部の総辞任を含めた責任と、NTTの社会的存在を再確認し、実効性ある再発防止策を強く要求しましょう。